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ハンゾーはなぜゲンジへ刃を向けたのか?後継者の義務と、自分で選んだ責任
長老の命令を受けたハンゾーは、なぜゲンジへ刃を向けたのか。後継者として背負わされた義務と、本人が選んだ行動の責任を分けて考察する。

ハンゾーは、長老たちの命令を受けて弟ゲンジへ一族に従うよう迫り、拒まれると決闘で瀕死にした。
後継者として育てられ、父の死後に組織をまとめる責任を負い、長老から命じられた。そこまでが、ハンゾーの置かれていた状況である。
だが、実際に弟へ刃を向けたのは本人だった。
この二つを混ぜると、命令に従っただけの被害者か、弟を憎んだ冷酷な兄かのどちらかになってしまう。ハンゾーの物語が重いのは、背負わされた義務と、自分で選んだ行動の責任が同時に存在するからだ。
なぜ彼はゲンジへ刃を向け、その後は一族を捨てても罪悪感から離れられなかったのか。兄弟へ与えられた役割、決闘後の自罰、そして「Dragons」で渡された許しから考える。

同じ家で、兄には義務、弟には自由が与えられた
シマダ一族は、ハナムラを拠点に武器や違法薬物の取引まで扱う巨大な犯罪組織だった。長男のハンゾーは、父ソウジロウの跡を継ぐ後継者として、戦略、戦術、武術、剣術、弓術を学ぶ。
彼は課された役割を果たせなかった人物ではない。むしろ、高い才能と責任感で、周囲が求める後継者像へ適応できた。だからこそ、一族へ従うこと自体を疑うきっかけも持ちにくかった。
一方、弟のゲンジも戦闘の才能を持ちながら、一族の事業へ関心を示さず、自由な生活を選んでいた。幼いころはキリコを含め家族のように過ごしていた二人へ、同じ役割が与えられていたわけではない。

公式に確認できること
父の死後、長老たちはハンゾーへ、ゲンジを一族の支配へ協力させるよう求めた。ゲンジが拒んだことで兄弟は激しく対立し、ハンゾーは決闘で弟を瀕死にしている。
この記事での解釈
ハンゾーの怒りには、後継者としての責任だけでなく、自分だけが一族の重荷を引き受けているという不公平感も重なっていた可能性がある。ただし、公式情報は兄弟の内心をそこまで断定していない。
長老の命令は、行動の背景であって免責にはならない
父の死後、ハンゾーは一族を率いる立場へ置かれた。長老たちから見れば、高い戦闘能力と内部情報を持ちながら忠誠を示さないゲンジは、組織を不安定にする存在だった。
ハンゾーは弟へ一族に加わるよう迫る。ハンゾーにとっては、父の死後に組織をまとめるための義務だった。ゲンジにとっては、自分の人生を犯罪組織へ差し出せという要求だった。性格の違いではなく、互いの生き方を両立できない対立である。
決闘に至った理由を、長老の圧力だけに絞ることはできない。後継者としての義務、父の死後の責任、弟への感情が重なっていたと考えられる。
同時に、命令があったから責任が消えるわけでもない。最終的に弟を傷つけたのはハンゾー自身だった。この区別を本人も理解したからこそ、「一族に命じられた」と他者へ責任を返すのではなく、自分の人生を変えるほどの罪悪感を抱えたのだと読める。
一族を去っても、傷つけた相手へ責任を果たしたことにはならない
ゲンジを殺したと思ったハンゾーは、一族も頭領の地位も捨て、世界を放浪する。弟を排除したことで後継者の道は開けたはずだが、その結果を受け取ることはできなかった。
彼が一族を去ったことには、犯罪組織との決別という意味がある。しかし、苦しみながら孤独に生きることは、ゲンジへ償う行動とは別である。傷つけた相手が不在だと思っていたハンゾーには、責任を引き受ける相手も方法もなく、自分を罰し続けることが償いの代わりになった。
現在のハンゾーが剣ではなく弓を主に使うことも、ゲンジを斬った過去と結びつけて解釈されることがある。
現時点では未確定
ハンゾーが剣を使わなくなった直接の理由は、公式情報では明らかになっていない。罪悪感の象徴として読むことはできるが、確定事項ではない。
自分を苦しめるほど反省していることと、過去の結果を変えることも同じではない。ハンゾーは一族の命令からは離れたが、罪悪感に次の生き方を決めさせていた。
「Dragons」で覆ったのは、弟の死だけではなかった
短編アニメーション「Dragons」で、ハンゾーはゲンジの命日にハナムラの旧シマダ城へ戻る。城はすでにハシモト組に奪われていたが、彼は弟の祭壇へ供物を置き、弔いを続けていた。

そこへ正体を隠したゲンジが現れ、二人は再び戦う。相手もシマダの龍を操ったことで、ハンゾーは目の前のサイボーグが生きていた弟だと知る。
ゲンジの生存によって、「弟を殺した」という認識は覆った。しかし、弟の身体と人生を大きく変える傷を負わせた事実までは消えない。そして、自分は弟を殺した者だという前提で何年も生きてきたハンゾーにとって、事実が変わっただけで生き方を切り替えることも難しかった。
ゲンジ側が身体と過去の意味を選び直した過程は、ゲンジがサイボーグの身体を受け入れるまでで整理している。
ゲンジの許しは、ハンゾーの代わりに未来を選ばない
ゲンジは兄を許していると伝え、自分自身も許さなければならないと促した。
許しは、ハンゾーの行為をなかったことにする判決ではない。傷つけられたゲンジが、兄への復讐に自分の未来を支配させないと決めたことでもある。
その言葉を受け取ったハンゾーには、初めて自罰以外の選択肢が生まれた。だが、ゲンジは兄の次の人生まで決めてくれない。許された後に何をするかは、ハンゾー自身が選ばなければならない。
ここで兄弟の位置は逆転する。かつてハンゾーは、長老の命令をゲンジへ押しつけた。再会したゲンジは、兄へ新しい命令を与えず、自分で選ぶよう求めたのである。
故郷へ戻るなら、旧シマダ一族を取り戻すためではない
シマダ一族の崩壊後、ハシモト組はカネザカと旧シマダ城を支配した。キリコの父トシロは連れ去られ、住民は暴力と脅迫に苦しんでいる。

キリコは故郷へ戻り、地域を守るためハシモト組へ抵抗している。ゲンジは新生オーバーウォッチへ参加した。一方、ハンゾーの現在の所属と、故郷の争いへどう関わるかは明確に決着していない。
ただし、シマダ一族も犯罪組織だった。ハンゾーが旧体制の支配者へ戻れば解決する話ではない。
キリコの記事とカネザカの抗争を合わせて読むと、ハンゾーが一族を去った後も、故郷には権力の空白と被害が残ったことが分かる。
彼が戻る意味があるとすれば、失った地位を取り戻すためではなく、一族の崩壊が残した問題へ現在の行動で関わるためだろう。
次の焦点は、命令ではなく自分の行動で償えるかにある
ハンゾーがゲンジへ刃を向けた背景には、長老の命令と後継者としての義務があった。だが、それは本人の行動だったからこそ、一族を捨てても罪悪感は消えなかった。
その後のハンゾーは、今度は罪悪感へ従い、自分を罰する生き方を続けた。命令の出し手が長老から過去の自分へ変わっただけで、何を守るかを自分で決める段階には進めていなかった。
ゲンジの許しが渡したのは、無罪ではない。過去を抱えたまま、謝罪、故郷の防衛、兄弟との関係を具体的な行動で作り直す余地である。
ハンゾーが新生オーバーウォッチへ加わるのか、キリコたちと故郷を守るのか、どの組織にも属さないのかは未確定だ。重要なのは所属先そのものではない。長老の命令や自己処罰へ戻るのではなく、ゲンジと故郷へ何を返すのかを、自分の行動として示せるかどうかである。
AUTHOR
この記事の執筆
Overwatchプレイ歴4年。本サイトの企画、診断ロジック実装、記事執筆、サイト運営を担当しています。
参考にした公式情報
本記事はBlizzard公式資料をもとに、出来事の順序と人物の動機が分かるよう再構成・編集しています。考察部分は、公式に確認できる情報と区別して記載しています。