DPSを使っていると、「自分がキルを取らなければいけない」と考えやすいものです。

敵を倒すことはもちろん大切です。しかし、毎回一人で敵を倒し切れなければ、DPSとして仕事をしていないわけではありません。

敵を攻撃すれば、敵は壁へ隠れる、回復を受ける、自衛スキルを使う、こちらへ注意を向けるといった対応を迫られます。敵が自由に味方を攻撃できない状態を作ることも、DPSの重要な役割です。

そのために必要なのは、無理に敵の裏へ回ることではありません。自分が強い距離を選び、自衛スキルを残して味方とは別の射線を作り、危なくなったらすぐ戻れる場所から攻撃します。

この記事は、操作や基本ルールは分かるものの、DPSでキルを取れないと何もできていないように感じる人を想定しています。

キルが取れなくても、圧力には価値がある

この記事でいう「圧力」とは、敵に「このまま戦い続けると危ない」と感じさせ、行動を変えさせる力のことです。

敵へダメージを与えて壁まで下がらせれば、その間は味方を攻撃できません。回復を受けさせれば、敵のサポートは別の行動をしにくくなります。自衛スキルを使わせれば、次に味方が攻撃したとき、その敵が使える選択肢は減っています。

こうした小さな有利は、すぐにはスコアに表れないこともあります。それでも、敵を下がらせる、回復させる、スキルを使わせるという積み重ねによって、味方が前へ出やすくなり、最後のキルも生まれやすくなります。

「倒せなかったから意味がなかった」ではなく、自分の攻撃によって敵の行動が変わったかを見ると、DPSの役割を理解しやすくなります。

DPSの土台になる3つの基礎

DPSの動きは、まず「得意な距離」「自衛スキルを残した射線作り」「遮蔽物と逃げ道」の3つにまとめられます。

1. 自分の得意な距離で撃つ

ヒーローによって、強く戦える距離は違います。

トレーサーやリーパーのように近距離で力を発揮するヒーローが、遠くから撃ち続けても大きな圧力にはなりにくいです。反対に、アッシュやウィドウメイカーのように距離を活かせるヒーローが、必要もなく敵の近くへ行けば、自分の強みを手放すことになります。

敵が見えているからといって、すぐに撃ち始める必要はありません。近距離が得意なら、壁や安全な道を使って近づきます。遠距離が得意なら、敵に簡単に近づかれない場所を選びます。

最初は、自分が使っているヒーローが「近距離・中距離・遠距離のどこで強いか」を一つ覚えるだけで十分です。

2. 自衛スキルを残して、味方とは別の射線を作る

味方全員が同じ場所から攻撃していると、敵は一つの壁やバリアで攻撃を防ぎやすくなります。

そこで、味方から少しだけ左右へずれる、隣の遮蔽物を使う、高台へ上がるなどして、味方とは違う方向から敵を見ます。大きく敵の裏まで回り込む必要はありません。「味方の近く、でも別の場所」くらいで十分です。

別の射線から攻撃すると、敵はこちらにも注意を向けなければなりません。敵がこちらを見ている間は、正面の味方が動きやすくなります。無理に一人でキルを取らなくても、敵に二つの方向を警戒させるだけで価値があります。

ただし、別の射線を作ると敵から狙われやすくなります。そのため、移動スキルや無敵スキルなど、狙われたときに戻るための自衛スキルを残しておきます。

敵がこちらを見たら、遮蔽物へ隠れるか、自衛スキルを使って味方の近くへ戻ります。自衛スキルを使った後は、さらに味方から離れて射線を広げず、遮蔽物の近くで戦いながら、もう一度安全に動ける状態になるのを待ちます。

自衛スキルが弱いヒーローや、すでにスキルを使っているときは、味方から大きく離れず、すぐ戻れる範囲で別の射線を作ります。それでも正面から少しずれるだけで、敵にとっては別の方向からの攻撃になります。

3. 遮蔽物と逃げ道の近くから撃つ

DPSは、攻撃を始める前に「撃たれたらどこへ隠れるか」を決めておきます。

壁や角のすぐ近くから撃っていれば、敵に狙われた瞬間に隠れられます。開けた場所に立っていると、隠れるまでに何度も攻撃を受け、そのまま倒されやすくなります。

遮蔽物は、一度も撃たれないためだけに使うものではありません。次の攻撃を受ける前に、安全な場所へ戻るために使うものでもあります。高台も、少し後ろへ下がるだけで敵から見えなくなれるなら、大きな遮蔽物として使えます。

別の射線から撃つときは、敵が自分へ近づいてきた場合の戻り道も確認します。元いた味方の場所へ戻れるか、次の壁まで移動できるかが分からない位置は、攻撃を始める前から危険です。

よくある失敗

敵を倒せそうになると、遮蔽物から離れてしまう

敵へ弾が当たり始めると、「もう少し前へ出れば倒せる」と感じることがあります。

しかし、前へ出ても攻撃の当てやすさがほとんど変わらないなら、遮蔽物から離れて危険になるだけです。弾が当たったことと、自分が前へ進むべきことは別の判断です。

敵を倒し切れなくても、一度下がらせたなら十分に価値があります。無理に追わず、安全な場所から次の攻撃を続けます。

自衛スキルがないまま、射線を広げてしまう

一度うまく攻撃できると、さらに横へ移動したり、敵の近くまで進んだりしたくなることがあります。

しかし、自衛スキルを使った後も射線を広げ続けると、敵に狙われたときに逃げられません。味方の近くから始めたつもりでも、少しずつ移動するうちに孤立してしまいます。

自衛スキルを使ったら、いったん遮蔽物か味方の近くへ戻ります。スキルが再び使えるようになってから、もう一度別の射線を作ります。

DPSの面白さは、敵の動きを変えて味方とキルを作ること

DPSの楽しさは、自分一人ですべての敵を倒すことだけではありません。

自分が別の射線から攻撃したことで敵がこちらを向き、味方タンクが前へ出られる。敵が壁へ下がったところへ味方の攻撃が重なり、最後は別の味方がキルを取る。自分が使わせた自衛スキルが戻る前に、次の攻撃で敵を倒せる。

このように、DPSの攻撃は一回で完結するとは限りません。敵を動かし、味方が動きやすい状況を作り、その積み重ねからキルが生まれていきます。

キル数だけを見ていると気づきにくいですが、自分の位置と攻撃によって敵が自由に戦えなくなる感覚は、DPSならではの面白さです。

まとめ|最初は、この3つだけ意識する

この記事の内容を、すべて同時に考える必要はありません。最初は次の3つだけ覚えておけば十分です。

  1. 自分の得意な距離で撃つ

使っているヒーローが強い距離を知り、その距離で攻撃します。

  1. 自衛スキルを残して、味方とは別の射線を作る

「味方の近く、でも別の場所」へ移動し、狙われたら遮蔽物へ隠れるか、自衛スキルを使って戻ります。

  1. 遮蔽物と逃げ道の近くから撃つ

攻撃を始める前に、撃たれたら隠れる場所と、追われたら戻る場所を決めておきます。

次の試合では、3つのうち一つだけ思い出せれば十分です。

敵を倒し切れなくても、敵が隠れた、こちらを警戒した、味方が前へ出られたという場面が一度あれば、DPSとして試合を動かせています。