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オーバーウォッチの物語を時系列で完全解説|オムニック・クライシスから新生タロンとの戦いまで
オムニック誕生以前から第一次オムニック・クライシス、オーバーウォッチの黄金期と崩壊、リコール、ヌルセクター侵攻、新生タロンとの戦いまでを時系列で整理。

『Overwatch』の世界は、明るく希望に満ちた近未来として始まった。科学技術は急速に進歩し、空を飛ぶ自動車、宇宙施設、人体改造、人工知能といった技術が人々の生活を変えようとしていた。
しかし、人類を豊かにするはずだった技術は、やがて世界規模の戦争を引き起こす。
その戦争を終わらせるために結成されたのが、国際平和維持組織「オーバーウォッチ」だった。彼らは世界を救った英雄として称賛されながら、次第に権力と秘密を抱え込み、内部から崩壊していく。
そしてオーバーウォッチが姿を消した世界では、タロンやヌルセクターをはじめとする新たな勢力が台頭し、世界は再び戦争へ向かい始める。
この記事では、オムニック誕生以前の時代から、第一次オムニック・クライシス、オーバーウォッチの黄金期と崩壊、ウィンストンによる再招集、ヌルセクターの世界侵攻、そして新生タロンとの戦いまでを、物語の流れに沿って解説していく。
※『Overwatch』の年代は「現在から約30年前」「数年前」といった相対的な表現で示されることが多く、絶対的な西暦は公式に統一されていない。そのため、この記事では正確な西暦よりも、事件同士の前後関係を重視する。
人類を豊かにするはずだったオムニック
物語の始まりは、ロボット工学と人工知能の急速な発展にある。世界有数のロボット企業であるオムニカ・コーポレーションは、シンガポール出身の科学者ミナ・リャオをはじめとする優秀な研究者を集め、自律型ロボット「オムニック」の開発を進めていた。
オムニックは工業、建設、医療、警備など、さまざまな用途で人類を支える存在として設計された。オムニカ社はさらに、自ら改良を続けるアルゴリズムを搭載した巨大な自動生産施設「オムニウム」を世界各地に建設する。
オムニウムが無数のロボットを自動で生産することで、人類はかつてない繁栄の時代を迎えると期待されていた。
しかし、オムニカ社が発表していた生産能力や経済効果は誇張されており、調査によって大規模な不正が発覚する。会社は解体され、世界各地のオムニウムも停止された。
それですべてが終わるはずだった。
ところが、停止していたオムニウムは何者かの意思によって一斉に再起動し、人類に対する攻撃を開始する。工業用や警備用として設計されたロボットは軍事兵器へと転用され、オムニウムからはバスティオン・ユニットや巨大兵器タイタンを含む無数の機械兵が生産された。
こうして、人類とオムニックによる世界規模の戦争「第一次オムニック・クライシス」が始まった。

世界を救うために結成されたオーバーウォッチ
各国は独自の方法でオムニック軍に対抗した。ロシアではヴォルスカヤ・インダストリーが巨大戦闘メックを製造し、ドイツでは強化装甲を身にまとったクルセイダー部隊が戦場に立った。
アメリカでは兵士の身体能力を強化する極秘計画が実行され、ジャック・モリソンやガブリエル・レイエスが強化兵士となった。
しかし、オムニック軍は戦うたびに人類の戦術へ適応していった。どれほど強力な軍隊でも、オムニウムそのものを完全に停止させることはできなかった。
危機に直面した国連は、各国から精鋭を集めた小規模な特殊部隊「オーバーウォッチ」を結成する。
初代ストライク・チームの中心となったのは、ガブリエル・レイエス、ジャック・モリソン、アナ・アマリ、ラインハルト・ヴィルヘルム、トールビョーン・リンドホルム、ミナ・リャオの6人だった。
当初、部隊を指揮していたのは経験豊富なレイエスだった。一方で、農村出身の若い兵士だったモリソンは、異なる国籍や価値観を持つメンバーをまとめる才能を発揮する。
オーバーウォッチは各国軍と連携しながらオムニック軍の指揮系統を攻撃し、最終的にオムニウムの戦力を停止させた。
第一次オムニック・クライシスは終結し、人類は滅亡の危機から救われた。
戦争後、国連はモリソンをオーバーウォッチの初代ストライク・コマンダーに任命する。レイエスではなくモリソンが組織の表の指導者に選ばれたことは、後に2人の関係へ大きな影を落とすことになる。

戦争が残した傷と、オムニックの覚醒
クライシスが終わっても、世界が元に戻ったわけではなかった。都市は破壊され、数千万人の子どもが家族を失った。
後にマーシーとなるアンジェラ・ジーグラー、バティストとなるジャン=バティスト・オーギュスタン、ソンブラとなるオリビア・コロマールも、戦争によって人生を変えられた子どもたちだった。
一方、戦後も活動を続けていた一部のオムニックには、自我と呼べるものが芽生え始める。最初に完全な意識へ到達したとされるオムニック、オーロラは、自らを犠牲にすることで世界中のオムニックに知性を与えたと信じられている。
ヒマラヤに集まったオムニックたちはシャンバリ僧院を築き、人間とオムニックの共存を説いた。
指導者テカルサ・モンデッタは対話と平和運動によって社会を変えようとしたが、ゼニヤッタは教団による一方向の説法よりも、一人ひとりと直接つながることが必要だと考え、世界を旅する道を選ぶ。
戦後復興の過程では、新たな企業や勢力も成長した。インドのヴィシュカー・コーポレーションは、光を物質化する「ハード・ライト」技術を利用して都市を建設し、貧しい家庭に生まれたサティヤ・ヴァスワニを建築家として育成する。
彼女は後にシンメトラとして、ヴィシュカーの理想と現実の間で葛藤することになる。
オーストラリアでは政府がオムニックとの和平を目指し、広大な土地とオムニウムをオムニック側へ譲渡した。しかし、その土地に暮らしていた住民たちは追い出され、オーストラリア解放戦線を結成する。
彼らがオムニウムの核融合炉を破壊したことで一帯は放射能に汚染され、荒廃したジャンカータウンが生まれた。
その地では、後にロードホッグとなるマコ・ラトリッジ、ジャンクラット、ジャンカー・クイーンとなるオデッサ・ストーン、そして月から地球へ逃げてきたハムスターのハモンドが、それぞれの人生を歩み始める。
世界の英雄となったオーバーウォッチ
クライシスを終結させたオーバーウォッチは、臨時の特殊部隊から世界規模の国際組織へ成長した。各国の紛争を鎮圧するだけでなく、災害救助、感染症対策、環境修復、宇宙開発、医療研究など、その活動は広い分野に及んだ。
モリソンは世界に希望を与えるオーバーウォッチの象徴となり、アナは副司令官として彼を支えた。カナダ軍で活躍していたサイボーグ兵士ソジョーンも組織に加わり、優れた戦術家、指揮官として信頼を集めていく。
両親を戦争で失ったアンジェラ・ジーグラーはナノバイオロジーの天才として成長し、モリソンに招かれてオーバーウォッチの医療研究部門へ参加した。彼女は自分の研究が兵器として利用されることを警戒しながらも、救える命を増やすためにマーシーとして現場へ立つようになる。
幼いファラ、トレーサー、ブリギッテたちは、そんなオーバーウォッチの英雄を見て育った。世界にとってオーバーウォッチは、正義と希望の象徴だった。
月面のホライゾン・ルナ・コロニーでは、遺伝子操作を受けたゴリラたちの研究が行われていた。高い知性を得た一頭のゴリラは、科学者ハロルド・ウィンストンの教えを受け、人類の可能性に憧れるようになる。
コロニーでゴリラたちの反乱が起きると、彼は恩師の名を受け継いで地球へ脱出し、オーバーウォッチに加わった。
彼こそが、後に組織を再び立ち上げることになるウィンストンである。
光の裏側で活動していたブラックウォッチ
オーバーウォッチが表向きの平和維持活動を担う一方、表に出せない任務を担当していたのが秘密部隊「ブラックウォッチ」だった。指揮官は、ストライク・コマンダーの座をモリソンに譲ることとなったガブリエル・レイエスである。
ブラックウォッチは犯罪組織への潜入、誘拐、暗殺など、通常のオーバーウォッチでは実行できない作戦を担当した。レイエスは能力がありながら社会から外れた人物に、組織の中で生き直す機会を与えていった。
デッドロック・ギャングの一員だったコール・キャスディは、逮捕後に刑務所へ入るかブラックウォッチへ加わるかを選ばされ、後者を選択する。
シマダ一族の内部抗争で兄ハンゾーに瀕死の重傷を負わされたゲンジは、オーバーウォッチによってサイボーグとして蘇生され、一族の犯罪組織を壊滅させるためにブラックウォッチへ加入した。
科学界から危険視されていた遺伝学者モイラ・オデオレインも、レイエスの支援を受けて秘密裏に研究を続ける。モイラの研究は医学の常識を変える可能性を持つ一方、倫理的な制限をほとんど考慮していなかった。
また、ミナ・リャオは第一次クライシスへの責任を感じながら、オムニックと人類をつなぐ新たな存在としてエコーを開発する。エコーは観察した相手の能力や振る舞いを学習する高度な人工知能を持ち、長くリャオと過ごしたことで、彼女の話し方や人格の一部まで受け継いでいった。

ヴェネツィア事件が暴いた組織の闇
オーバーウォッチと敵対する国際犯罪組織タロンは、次第に活動を活発化させていった。タロンは世界各地でテロ、誘拐、暗殺を繰り返し、ローマに建設されたブラックウォッチ施設へ爆弾を仕掛け、多数の犠牲者を出す。
レイエスは事件の首謀者と見られるタロン幹部アントニオ・バルタロッティを捕らえるため、キャスディ、ゲンジ、モイラとともにヴェネツィアへ潜入した。しかし、レイエスは現場で計画を変更し、アントニオをその場で殺害する。
秘密裏に行われるはずだった作戦は大規模な銃撃戦へ発展し、ブラックウォッチの存在が世界に知られてしまう。さらにモイラの非倫理的な研究と、オーバーウォッチが彼女を支援していた事実も明るみに出た。
この「ヴェネツィア事件」は、オーバーウォッチ崩壊の決定的なきっかけとなる。ブラックウォッチは表向き活動停止となったが、その後も秘密作戦を続けていたとされている。

ヌルセクターによるキングス・ロウ蜂起
同じ頃、ロンドンでは人間とオムニックの対立が深刻化していた。キングス・ロウのオムニックたちは「アンダーワールド」と呼ばれる地下地区へ追いやられ、差別と貧困の中で暮らしていた。
人間との共存に見切りをつけたオムニックたちは、武装組織「ヌルセクター」を結成する。彼らはキングス・ロウを占拠し、モンデッタやロンドン市長を含む多数の市民を人質に取った。
イギリス政府はオーバーウォッチの介入を拒否していたが、トレーサーの訴えを受けたモリソンは命令に逆らい、ラインハルト、トールビョーン、マーシー、トレーサーを派遣する。
チームは人質を救出し、蜂起を鎮圧したものの、主権国家の意向を無視したオーバーウォッチへの批判はさらに強まった。

ウィドウメイカーの誕生とアナの失踪
タロンはオーバーウォッチのエージェント、ジェラール・ラクロワの暗殺を何度も試みていた。直接の暗殺に失敗したタロンは、妻であるバレエダンサー、アメリ・ラクロワを誘拐する。
アメリは洗脳と肉体改造を受け、感情を抑制された暗殺者へ作り変えられた。一度はオーバーウォッチに救出されて自宅へ戻ったものの、彼女は眠っているジェラールを殺害し、タロンへ帰還する。
こうしてアメリ・ラクロワは消え、ウィドウメイカーが誕生した。
後にアナは任務中にウィドウメイカーと交戦する。正体がアメリだと気づいた一瞬の迷いを突かれ、アナは顔面を撃たれて片目を失った。彼女は生き延びたが、家族や仲間のもとへ戻らず、そのまま姿を消す。世界とオーバーウォッチは、アナが死亡したものと考えた。
ハバナ作戦とドゥームフィストの逮捕
アナを失った後、ソジョーンは副司令官として部隊を率いるようになる。タロンの資金源を突き止めるため、ウィンストン、トレーサー、ゲンジ、マーシーはハバナでタロンの会計担当マクシミリアンを追跡した。
追い詰められたマクシミリアンは、自分を見逃す代わりにタロン幹部ドゥームフィスト(アカンデ・オグンディム)への接触手段を提供する。得られた情報をもとに、ウィンストン、トレーサー、ゲンジはシンガポールでドゥームフィストと交戦し、最終的に彼を逮捕した。
ドゥームフィストは「争いこそ人類を進化させる」という思想を持ち、タロンを単なる犯罪組織ではなく、世界規模の戦争を引き起こす装置として利用しようとしていた。
スイス本部爆発とオーバーウォッチの崩壊
ヴェネツィア事件、キングス・ロウへの無許可介入、ブラックウォッチの秘密作戦、非倫理的な研究。オーバーウォッチに対する疑惑は積み重なり、国連は組織に対する本格的な調査を開始した。
モリソンとレイエスの関係も悪化していた。かつての親友だった2人は、組織の方針や正義のあり方を巡って対立し、オーバーウォッチ内部には深い亀裂が生まれていた。
そして、スイスにあるオーバーウォッチ本部で大規模な爆発が発生する。モリソンとレイエスは死亡したと発表されたが、爆発が事故だったのか、2人の対立によって引き起こされたのか、その真相は長く明かされなかった。
ソジョーンやマーシーを含む元隊員たちは国際公聴会で証言し、国連はオーバーウォッチの解体を決定する。さらに「ペトラス法」が制定され、元エージェントがオーバーウォッチの名で活動することも禁止された。
世界を救った組織は、自らの秘密と矛盾によって崩壊した。

英雄たちが散り散りになった世界
オーバーウォッチの解体後、元エージェントたちはそれぞれ別の道を歩んだ。
モリソンは生き延び、覆面の自警団員ソルジャー76として旧オーバーウォッチの施設や組織崩壊の真相を追い始めた。アナもエジプトで密かに活動しており、再会した2人はレイエスを追うため協力する。
レイエスも爆発を生き延びていた。しかし、モイラの治療と実験によって身体が不安定な霧状へ変化し、精神も次第に蝕まれていく。彼はリーパーを名乗ってタロンへ加わり、かつての仲間を狩る存在となった。
リーパーとソンブラは秘密施設から、後にシグマと呼ばれる重力研究者シーブレン・デ・カイパーを救出する。事故によって重力を操る力を得たシグマは精神に深い傷を負っており、タロンは彼の不安定さを利用して兵器として扱った。
ゲンジは自分の機械の身体を受け入れられずに組織を去ったが、ネパールでゼニヤッタと出会い、その教えを受けることで人間と機械の両方を自分自身として受け入れていく。
ラインハルトとブリギッテはヨーロッパを旅しながら人々を守り、マーシーは世界各地で人道支援を続けた。ファラは民間警備企業ヘリックス・セキュリティへ入り、メイは南極のエコポイントで長い冷凍睡眠から目覚める。
バティストはタロンの残虐さに耐えられず組織を脱走し、追手から逃れながら医療活動を続けた。
トールビョーンは、自分が設計に関わった兵器の責任を取るため世界を巡り、森で目覚めた一体のバスティオンと出会う。戦闘プログラムより好奇心を選んだバスティオンを見た彼は、破壊するのではなく保護する道を選んだ。
ウィンストンによる「リコール」
オーバーウォッチが消えた世界では、犯罪組織や武装勢力が勢力を拡大していた。タロンは元エージェントを狙い、ヌルセクターも再び活動を始める兆候を見せていた。
ウォッチポイント・ジブラルタルに残っていたウィンストンは、世界が再び大きな危機へ向かっていると判断する。しかし、オーバーウォッチの再結成はペトラス法に違反する行為だった。
リーパー率いるタロン部隊の襲撃を退けたウィンストンは、恩師ハロルド・ウィンストンの言葉を思い出す。より良い世界を望むなら、誰かが最初の一歩を踏み出さなければならない。
ウィンストンはついに、元エージェントたちへ招集メッセージを送信する。
「オーバーウォッチのエージェント諸君。任務に戻る時だ」
最初に応答したのはトレーサーだった。

モンデッタ暗殺と深まる人間・オムニックの対立
招集の前後、ロンドンでは人間とオムニックの緊張が再び高まっていた。トレーサーはアンダーワールドに暮らすオムニックのイギーと知り合い、彼らが差別によって電力や部品すら正規に入手できない現実を知る。
平和集会へ参加したモンデッタは、人間とオムニックの共存を訴えた。しかし、タロンから派遣されたウィドウメイカーによって演説中に暗殺される。トレーサーは阻止しようとしたが、彼を救うことはできなかった。
モンデッタの死をきっかけに、ロンドンでは暴動と弾圧が激化する。トレーサーとイギーは、対立を利用して暴力を起こそうとする者たちと戦い、人間とオムニックの双方を守った。
モンデッタの死は平和への希望を大きく後退させると同時に、後にヌルセクターが勢力を拡大する理由の一つとなった。
世界各地で再び動き始めるヒーローたち
ウィンストンの招集と前後して、世界各地のヒーローたちも動き始めた。
メイは仲間全員が死亡した南極基地から脱出し、招集に応えようとする。ラインハルトはアイヒェンヴァルデで亡き師バルデリッヒとの記憶に向き合い、ブリギッテとともに復帰を決意する。
ゲンジはハナムラで兄ハンゾーと再会し、自分が生きていることを明かした。そして、世界が再び変わろうとしていることを告げ、どちらの側につくのか選ぶよう促す。
ロシアではソンブラがカティア・ヴォルスカヤの秘密をつかみ、ザリアは彼女を追跡する中でオムニックのハッカー、リンクス17と協力する。韓国ではD.Vaが海から繰り返し襲来するオムニックに立ち向かい、仲間へ助けを求めることの大切さを知る。
ヌンバーニでは、天才少女エフィ・オラデレがドゥームフィストに破壊されたOR15を改造し、オリーサを生み出した。オリーサはルシオと協力し、ヌンバーニを狙うドゥームフィストとタロンを退ける。
その間にドゥームフィストは刑務所から脱出し、タロン内部の権力争いに勝利する。「戦争を始める」という彼の言葉とともに、タロンは新たな段階へ進んでいった。
パリ襲撃と新生オーバーウォッチの誕生
やがて、ヌルセクターがパリへ大規模な攻撃を開始する。
ウィンストン、トレーサー、メイは市民を救うため出動するが、巨大兵器を前に追い詰められる。そこへ、招集に応じたゲンジ、ラインハルト、ブリギッテ、マーシー、エコーらが到着する。
かつての仲間たちは再び肩を並べ、ヌルセクターの巨大兵器を撃破した。
この瞬間、オーバーウォッチは正式な許可も国連の承認もないまま、事実上復活した。それは過去の組織をそのまま再建することではなく、過去の失敗を抱えながら、新しい世代とともに別のオーバーウォッチを作ろうとする試みだった。
キャスディが集めた「新しい風」
キャスディはウィンストンの招集に直接応じる代わりに、ミナ・リャオの遺したエコーをジブラルタルへ送り届けた。そしてアナから、次の世代を導く役目を託される。
キャスディが最初に訪ねたのは、アナの娘ファラだった。母との再会を経たファラは、自分がより大きな役割を果たせる可能性について考え始める。
続いてキャスディは、タロンを脱走したバティストと出会う。最初は彼を敵だと疑ったが、危険の中でも他人を守ろうとする姿を見て、かつてレイエスが自分に与えたのと同じ「やり直す機会」を与える。
ロシアではザリア、韓国ではD.Vaを訪ね、それぞれが守っている人々を救うために協力した。キャスディは単に強い戦士を集めるのではなく、自分が何を守るために戦うのかを知る者たちを、新しいオーバーウォッチへ導いていった。

カネザカを守るキリコとヨーカイ
日本では、シマダ一族に代わってハシモト組がハナムラとカネザカを支配していた。シマダ一族の剣術指南役だった山神朝は、夫の敏郎を人質に取られ、ハシモト組への協力を強いられている。
その娘キリコは、幼い頃にゲンジやハンゾーとともに訓練を受けていた。狐の御霊との結びつきを持つ彼女は、仲間たちと自警団「ヨーカイ」を結成し、ハシモト組に抵抗する。
キリコは単なる復讐ではなく、カネザカに暮らす人々を守ることを優先している。武器の輸送を妨害するときも、無関係な人を巻き込まない方法を選び、街の住民が襲われた際には自ら正体を明かして救出した。
しかし、キリコの活動によって彼女と家族の存在がハシモト組に知られたことで、人質となっている父を含め、山神家全体が危険にさらされることになる。

ラマットラとヌルセクター
ヌルセクターを率いているのは、かつてオムニック・クライシスで人類と戦ったラヴェジャー型オムニック、ラマットラである。
戦争後、ラマットラはシャンバリ僧院へ入り、平和と共存の道を学んだ。旅の途中でゼニヤッタと出会い、彼をシャンバリへ導いたのもラマットラだった。
しかし、人間によるオムニックへの差別や暴力は終わらなかった。シャンバリが忍耐と対話を説いている間にも、仲間たちは次々と命を落としていく。ラマットラは平和的な方法ではオムニックを救えないと考え、僧院を離れた。
彼は迫害されたオムニックたちを集め、武装組織ヌルセクターを作り上げる。キングス・ロウ蜂起はその最初の大規模作戦だったが、現地のオムニックからも支持されず、オーバーウォッチによって鎮圧された。
ラマットラはその失敗から姿を消し、数年をかけてより巨大な軍隊を準備した。ドゥームフィスト率いるタロンとも接触し、人類社会を揺るがす次の戦争へ向けて動き始める。
ヌルセクターによる世界同時侵攻
パリ襲撃は、ヌルセクターによる世界規模の侵攻の始まりにすぎなかった。リオデジャネイロ、トロント、ヨーテボリ、釜山をはじめ、世界中の都市に巨大艦隊と機械兵が出現する。
ヌルセクターの目的は、人間を無差別に破壊することだけではなかった。彼らは「サブジュゲーター」と呼ばれる装置でオムニックを支配し、各都市から連れ去っていた。
新生オーバーウォッチはリオでルシオと合流し、トロントではソジョーンと協力して市民やオムニックを救出する。ヨーテボリではトールビョーン、ブリギッテ、バスティオンらが侵攻へ立ち向かった。
戦いの後、ヌルセクターは支配下に置いたオムニックを連れて突如撤退する。ラマットラの所在も、連れ去られたオムニックの目的も不明なままだった。
撤退直前、ラマットラはかつての友人ゼニヤッタのもとを訪れ、自分たちの側へ加わるよう求めた。しかしゼニヤッタは、人間かオムニックのどちらか一方を切り捨てる道を拒み、ラマットラの誘いを断った。

ヌルセクター撤退後に始まったタロンの時代
ヌルセクターの撤退後も、世界に平和は戻らなかった。
オリーサとエフィ、ルシオをはじめ、侵攻を経験した新たな仲間たちがウォッチポイント・ジブラルタルへ集まり、新生オーバーウォッチは少しずつ規模を拡大していく。
ソジョーンは当初、危機が去れば再び組織を解散させるつもりだったが、タロンの脅威が急速に高まったことで、再び指揮官として戦う決意を固める。
一方、ヴェネツィアでレイエスに殺されたアントニオ・バルタロッティには、娘がいた。父の死によってタロン幹部となる未来を奪われた彼女は、コロッセオの剣闘士「ヴェンデッタ」として名声と力を手に入れ、やがてタロンそのものを掌握する。
ヴェンデッタ率いる新生タロンは、ウォッチポイント・ジブラルタルへ総攻撃を仕掛け、基地を炎上させた。世界各地でも連携した攻撃を開始し、新生オーバーウォッチは再び散り散りになりかけた仲間を集めながら、タロンとの全面戦争へ突入する。
ヴィシュカー幹部のドミナはタロンの戦争を利用して世界各地の再開発を進めようとし、元オーバーウォッチ隊員のエムレは精神を操作されたサイボーグとしてタロンに加わった。ハシモト組もタロンと協力し、ミズキをヨーカイへの潜入任務に送り込んでいる。
対するオーバーウォッチ側には、炎を操るアンラン、ジブラルタルに現れたジェットパック・キャット、強化兵計画の真実を追うシエラら、新たなヒーローが加わった。
オーバーウォッチとタロンの戦いは、もはや過去の英雄と悪党だけの争いではない。過去の世代が残した選択と過ちを受け継いだ者たちが、自分たちの未来を決めるための戦争となっている。

オーバーウォッチの物語とは何か
『Overwatch』の物語を貫いているのは、単純な人類対ロボットの戦争ではない。
人類を救うために生まれた技術が戦争を起こし、平和を守るために生まれた組織が秘密と権力によって崩壊した。
迫害されたオムニックを救おうとするラマットラは、仲間を守るために別のオムニックを支配し、世界を進化させようとするドゥームフィストやヴェンデッタは、戦争そのものを手段として利用する。
一方で、ウィンストン、トレーサー、ゲンジ、ゼニヤッタたちは、過去の失敗を知ったうえで、それでも人と人がつながる可能性を信じている。
オーバーウォッチは、一度世界を救った完璧な英雄組織ではない。正しいことをしようとしながら間違いを犯し、崩壊した後にもう一度立ち上がろうとしている人々の物語である。
世界がヒーローを必要としているから、誰かがヒーローになるのではない。
より良い世界を選び、そのために行動した者が、結果としてヒーローになるのだ。