ウォッチポイント・ジブラルタルに現れた1匹の野良ネコが、ブリギッテ自慢のジェットパックを背負い、オーバーウォッチの切り札になろうとしている。フィーカ、通称ジェットパック・キャットである。彼女は「ペット」なのか、それとも「隊員」なのか。

公式ヒーロー・ストーリーは、その境界線の上で生まれた物語を、真顔と冗談をないまぜにして語る。

ジブラルタルに現れた、シナモンロール色の野良ネコ

フィーカは、ウォッチポイント・ジブラルタルに現れた謎の野良ネコである。

ある日、着陸ベイをさまよう1匹のネコを見つけたブリギッテは、飼い主についての手がかりを得られなかったため、カネルブッレ(シナモンロール)の色をしたその食いしん坊のネコを「フィーカ」と命名し、飼いネコとして基地での生活を始めた。

フィーカという名は、スウェーデンのお茶の時間の習慣に由来する言葉だ。ブリギッテの出自を思えば、しっくりくる名付けだと私は読んでいる。だが公式ストーリーがここで描くのは、ただの保護ネコの話ではない。

幼い頃から実家のネコをワークショップのアシスタントとして育ててきたブリギッテにとって、ネコは家族であると同時に、ものづくりの相棒でもあったのだ。

子供の頃からの構想:ネコ用ジェットパック

ブリギッテは、飼い猫に支援用のジェットパックを取り付けるという子供の頃からの構想を温めていた。非常事態でのネコの活躍を思い描きながら、実家のネコをワークショップのアシスタントとして育ててきた彼女にとって、それは冗談ではなく、ずっと練られてきたアイデアだった。

ここがジェットパック・キャットの物語の面白いところだと私は考えている。フィーカのジェットパックは、戦場の必要から急ごしらえされたものではない。子供の頃の夢が、長い時間をかけて構想として育ち、フィーカとの出会いによって現実の設計図になったものだ。

ブリギッテという技術者が、ネコを「かわいいから」ではなく「役に立つ相棒として」見てきた証でもある。

タロン襲撃が、構想を現実に変えた

突如として訪れた、タロンによるジブラルタル襲撃。オーバーウォッチの戦力は圧倒的に不足していた。ブリギッテは構想をいったんは断念しようとしたが、ふと閃いた。フィーカもジェットパックと訓練次第で、チームに少しでも貢献できるのではないか、と。

十分な資源がある今こそ計画を進めるべきと判断したブリギッテは、構想の実現を決意し、ついにフィーカを乗せるためのジェットパックを完成させた。

ブリギッテの記事で触れた彼女のものづくりの姿勢は、ここでも変わらない。仲間の窮地を前に、手元の技術で何ができるかを考える。それがブリギッテのやり方であり、フィーカのジェットパックはその延長線上にある。

公式に確認できること

フィーカはブリギッテに拾われた野良ネコで、ジェットパックはブリギッテが開発したものである。彼女はブリギッテからパイロットとしての訓練を受け、オーバーウォッチの他のメンバーに負けないくらいのポテンシャルを見せる存在として描かれている。

パイロットとしての訓練と、残るハードル

新たな飼い主からパイロットとしての訓練を受けたフィーカは今や、ブリギッテ自慢の切り札だ。無論、ジェットパックを操る猫を実戦投入するというアイデアは前代未聞。その許可をソジョーンから得るのは骨の折れる仕事だろう。しかし、それもアイデアと集積したデータ次第。

フィーカがタロンとの戦いで活躍する日は、もうまもなくだと公式ストーリーは締めくくる。

ここで公式ストーリーは、冗談のようでいて真面目なハードルを置いている。許可を出す側のソジョーンは、オーバーウォッチの指揮官として現実的な判断を下す立場だ。ネコの実戦投入は、たとえポテンシャルがあっても、組織の承認を必要とする。

フィーカの物語は、ブリギッテの夢の話であると同時に、オーバーウォッチという組織が「前代未聞」を受け入れるかどうかの話でもある。

ジェットパックを背負い空を駆けるフィーカ

なお、公式ヒーローページのストーリー欄には、猫がキーボードの上を歩いたかのような一節も含まれている。私はこれを、フィーカという存在そのものが持つ遊び心の表れとして読んでいる。公式が真顔だけで語らないこと自体が、このヒーローの性格を物語っている。

現時点では未確定

フィーカの出自や元の飼い主、公式コミック「Project: Jetpack Katt」の内容、そしてソジョーンの許可が実際に下りたかどうかは、公式に明らかになっていない。フィーカが正式な隊員として認められる日は、まだ描かれていない。

結論:フィーカはペットか、隊員か

冒頭の問いに戻る。フィーカはペットであり、同時に隊員になろうとしている存在だと私は読んでいる。ブリギッテにとって彼女は飼いネコであり、家族だ。だがジェットパックを背負い、訓練を受け、仲間の窮地を救うために空を飛ぶ時、彼女はもう「ただのネコ」ではない。

ブリギッテの子供の頃の夢が、タロン襲撃という現実の危機と出会い、1匹の野良ネコを戦場の空へ押し上げた。その夢が組織の承認を得て本物の隊員になるかどうかは、まだわからない。

だがフィーカが空を駆ける姿そのものが、オーバーウォッチというチームのあり方を少しだけ広げている。戦うのは人間だけではない。モフモフの癒しと空中支援を届ける存在も、チームの一員になれる。公式ストーリーは、その可能性を冗談ではなく、本気の構想として描いている。