エコポイント・アンタークティカで大嵐に閉じ込められたメイたちは、救助を待つためにクリオフリーズへ入った。だが、救助隊は来なかった。

メイが目覚めたのは9年後。仲間は全員亡くなり、オーバーウォッチは解体され、世界の気候はさらに悪化していた。それでも彼女は、ウィンストンの招集へ応じ、新生オーバーウォッチに加わった。

自分たちを救えなかった組織へ、なぜ戻れたのか。メイが信じ直したのは、かつての組織が間違わなかったという話ではない。失われた研究と仲間の仕事を、今いる人々と続けるために、組織をもう一度「手段」として選んだのである。

眠る決断は、生き延びるための共同作業だった

気候現象の悪化に対処するため、オーバーウォッチは世界各地にエコポイントを設置していた。気候学者メイ=リン・チョウは、気象操作技術を危険地域の保護へ応用し、エコポイント・アンタークティカで研究を続ける。

しかし、未曽有の大嵐で施設と設備が損傷し、外部との連絡が途絶えた。備蓄が尽きかけた研究チームは、物資の供給か救助が来るまで身体を冷凍保存する道を選ぶ。

それは、一人だけが逃げる選択ではなかった。全員が目覚め、研究へ戻る未来を前提にした判断だった。だからこそ、目覚めた後の現実は、単に時間を失った以上に重い。

9年後に残ったのは、メイとスノーボールだけだった

予定を大きく超えた9年後、冷凍保存室が開く。生き残ったのはメイ一人だった。オーバーウォッチはすでに存在せず、各地のエコポイントは停止し、研究で得た手がかりも失われていた。

短編アニメーション「RISE AND SHINE」では、孤立した施設でメイが仲間の死を知り、脱出手段を組み立てる過程が描かれる。観測ロボットのスノーボールは、通信と作業の補助だけでなく、彼女が一人ではない状態を最後まで支えた。

9年後の南極でスノーボールと脱出を目指すメイ

メイは残された部品と技術を使い、小型の気象操作装置を完成させて南極を脱出する。研究者としての知識は、論文のためではなく、まず今日を生き延びる力になった。

「救助されなかった」と「見捨てられた」は同じではない

救助隊が来なかったことは公式に明記されている。一方、誰が救助を止めたのか、オーバーウォッチが隊員の状況をどこまで把握していたのか、組織解体との時間関係がどうだったのかは詳しく説明されていない。

公式に確認できること

メイたちは救助を待って冷凍保存へ入り、救助は来なかった。メイが目覚めた時点でオーバーウォッチは存在せず、気候悪化とエコポイント停止が進んでいた。

ここを「オーバーウォッチが意図的に見捨てた」と断定することはできない。同時に、メイにとって救われなかった事実が消えるわけでもない。

それでも彼女がリコールへ応じたのは、過去の組織へ無条件に忠誠を戻したからではないだろう。私は、ウィンストンやトレーサーが再び動き始めた場所に、停止した観測網と共同研究を再開する接点を見たと考えている。

気候研究とオーバーウォッチ参加は、別々の使命ではない

ウォッチポイント・ジブラルタルで合流したメイは、気候研究を続け、研究内容を記録する機関誌の執筆を決める。停止した生態系研究ネットワークを再構築し、地球環境を脅かす原因を探ることが個人的な使命になった。

ところが、ヌルセクターがパリを攻撃すると、彼女はその使命を一時的に後回しにして新生オーバーウォッチの戦闘へ加わる。

一見すると、研究を中断して組織の都合を優先したように見える。だが、気候を守る目的は、そこに暮らす人々を守る目的と切り離せない。パリで今まさに命が失われるなら、将来の環境を研究するだけでは彼女の使命を果たせない。

私は、メイが研究者から戦闘員へ変わったのではなく、研究を現場で人々の生存へつなぐ範囲が広がったのだと考えている。

希望は、喪失を忘れる態度ではない

メイは明るく前向きな人物として描かれる。しかし、その明るさを「仲間の死を乗り越えて気にしなくなった」と読むのは違う。

彼女が再開しようとしているのは、亡くなった仲間たちと進めていたエコポイントの仕事でもある。失われた記録を集め直し、止まった観測網をつなぐ行動は、過去を捨てることではなく、終わらせないための作業だ。

現時点では未確定

世界規模の気候異常を引き起こしている原因、他のエコポイントに何が起きたのか、メイの研究がどこまで復元されたのかは明らかになっていない。

答えがないからこそ、彼女は観測を再開する。メイの希望は根拠のない楽観ではなく、分からないものを調べ、壊れたものを一つずつ直す行動として表れている。

結論:メイは過去の組織ではなく、続けるべき仕事を選び直した

メイは、オーバーウォッチが自分たちを必ず救ってくれるという信頼へ戻ったわけではない。彼女が目覚めた時、その組織はすでになく、仲間も研究も失われていた。

それでも、地球の異変を調べ、人々を守る仕事は残っていた。ウィンストンたちのリコールは、停止した観測網をつなぎ直し、気候研究を共同で再開するための新しい接点になった。

南極でメイを生かしたのは、救助を待ち続けることではなく、残った技術とスノーボールの助けから脱出方法を作ることだった。新生オーバーウォッチへの参加も同じである。元どおりになるのを待つのではなく、残った人と道具から次の仕組みを作る。

メイが取り戻そうとしているのは、失った9年ではない。その9年の先でも、仲間たちが始めた仕事には続きを作れるという可能性である。