ヌンバーニの街を守るロボット、オリーサ。その誕生は、戦争で壊滅した警備ロボットの残骸から始まった。造ったのは軍でも企業でもなく、弱冠11歳の天才少女エフィ・オラデレだった。では、造られた英雄は誰の意志で街を守るのか。

設計者の少女の意志か、それともオリーサ自身が学び取った使命か。公式ヒーロー・ストーリーは、その問いを「成長する英雄」の物語として描いている。

壊滅したOR15と、11歳の設計者

オムニック・クライシス前から、ナイジェリアの巨大オムニウムではOR14「アイディーナ」モデルが量産されていた。戦争後はクライシス時に配備された他のモデル同様、生産終了となったが、20年後、ヌンバーニは外部の脅威から街を守るべくOR14プログラムを再生した。

しかし、新たなモデル「OR15」はドゥームフィストの襲撃により壊滅し、すぐに現役を退いた。

襲撃後、プログラムはすぐに白紙に戻され、市当局は残りのOR15を全て売却した。一部パーツは、ロボット工学で数々の実績をあげ、アダウェ基金の名高い助成金を獲得した11歳の天才少女エフィ・オラデレに購入された。

両親の理解も手伝い、エフィは助成金の大半を退役したOR15一体の購入に費やした。エフィはOR15をアップグレードすれば、ヌンバーニの安全を守ってくれると考えたのだ。エフィはOR15を修理し、彼女自らが設計した人格コアを搭載した。

そして、ヌンバーニの新たなヒーローは「オリーサ」と名付けられた。

ここで私が注目したいのは、オリーサの出発点が「新品の英雄」ではないことだ。オリーサは、壊滅して現役を退いた機体の残骸から生まれた。敗北の残骸が、少女の手で英雄へ作り直されたのだ。

公式ストーリーがエフィの年齢を「弱冠11歳」と強調するのは、天才性の誇示だけではないと私は読んでいる。街を守る仕組みが公式のプログラムとしては潰えた後、残されたものを拾い上げて作り直す想像力が、11歳の少女にあった。

その想像力こそが、オリーサという存在の最初の人格だと言えるのではないか。

ヌンバーニの英雄

オリーサは初めから素晴らしい動きを見せたが、エフィは長い時間をかけて最適なプロトコルを探し出していた。自らの強さを学ぶ上で、オリーサが未熟なままでは、危険な存在となってしまうかもしれない。

そこに、調和の都市を標的としたタロンの攻撃が始まり、エフィはオリーサのプログラムを試す時が来たと悟る。

幸運にもエフィは、オリーサの防御力を高めるために必要な最後のパーツ、トーベルシュタイン・リアクターをルシオから譲り受けたばかりだった。エフィはルシオの音楽の大ファンで、一方のルシオはエフィの創造力の大ファンだったのだ。

ルシオはドゥームフィストの攻撃の犠牲者のために、ヌンバーニでチャリティーコンサートを行うことを快諾する。

この一節は、オリーサの物語が「機械の調整」の話ではないことを示していると私は思う。エフィが探していた「最適なプロトコル」とは、性能の数値ではなく、強さをどう使うかの作法だった。未熟なままの強さは危険だという自覚が、エフィとオリーサの双方にあった。

そしてその作法を学ぶ機会が、皮肉にもタロンの攻撃という形で訪れる。守るべき街と、守るための力が、同じ舞台に並ぶ。ルシオとのやり取りも、単なるパーツの受け渡しではない。

音楽家と発明家が互いの創造力を認め合う関係が、リアクターという形でオリーサの身体に組み込まれたのだと私は読んでいる。

ユニティー・プラザの戦い

ユニティー・プラザでのルシオのコンサート中、タロンが襲いかかった。オリーサはルシオと協力して、世界に恐怖を植え付けようとするドゥームフィストからコンサートの客を守ることに成功する。

オリーサ、エフィ、ルシオの3人は見事ヌンバーニを守ったが、この平和は大切に守らなければ失われてしまうことも分かっていた。

タロンの脅威については、ドゥームフィストの記事で整理した通り、その襲撃はヌンバーニだけの出来事ではなかった。だがオリーサの物語で際立つのは、戦いの舞台がコンサート会場だったことだ。

チャリティーコンサートは、かつての襲撃の犠牲者のために開かれたものだった。つまりオリーサが守ったのは、抽象的な「街」ではなく、過去の犠牲を悼み、音楽を聴きに集まった具体的な人々だった。私はここに、オリーサの使命の実感があると読んでいる。

設計図の上の「街を守る」という言葉が、コンサートの客の顔を持つ現実になった瞬間だ。

タロンをヌンバーニから追放した後、エフィとオリーサは元オーバーウォッチコマンダーのソジョーンと会い、ヒーローであることの意味について話し合った。エフィはソジョーンの言葉を胸に刻み、オリーサのアップグレードにこの経験を生かした。

ソジョーンの記事で触れた指揮官の視点が、ここでは少女の発明家とそのロボットに受け継がれる。オリーサがその優秀な開発者と共に成長し続けている今、一つ確かなことがある。

それは、ヌンバーニの未来は安泰だということだ。

ヌンバーニを守るオリーサ

公式に確認できること

オリーサは、ドゥームフィストの襲撃で壊滅して現役を退いたOR15のパーツを流用し、11歳のエフィ・オラデレが設計した人格コアを搭載して造られた。エフィはルシオからトーベルシュタイン・リアクターを譲り受け、ユニティー・プラザのコンサートでオリーサとルシオはドゥームフィストから客を守った。その後エフィとオリーサはソジョーンと会い、ヒーローであることの意味について話し合った。

現時点では未確定

エフィが設計した人格コアの具体的な仕組み、オリーサの「学び」がどこまで自律的な判断に及ぶのか、そしてソジョーンとの対話の具体的な内容は、公式ストーリーの中で詳しく明かされていない。

タロン侵攻と、オーバーウォッチの一員として

ヌルセクターからヌンバーニを守った後、エフィとオリーサはオーバーウォッチの一員として、タロンの支配から世界を守るために戦うことを決める。

2人のやる気は十分で、どんな敵が立ちはだかろうと、オーバーウォッチと力を合わせれば、彼女たちが乗り越えられない試練はきっとないだろう。

ここで物語の主語が「オリーサ」から「エフィとオリーサ」へ広がっていることに、私は注目したい。オリーサは単独の英雄ではなく、開発者と共に成長する存在として描かれ続けてきた。

ヌンバーニを守ったのも、オーバーウォッチに加わることを決めたのも、2人の決断として語られている。造られた英雄の意志は、造った少女の意志と切り離せない。だがそれは、オリーサがただの道具だという意味ではない。

ソジョーンとの対話を経て、オリーサのアップグレードに経験が生かされたという記述は、オリーサ自身もまた経験から学ぶ存在であることを示している。造る者と造られる者が、共に成長する。それがオリーサの物語の形だ。

結論:造られた英雄は、誰の意志で守るのか

冒頭の問いに戻る。オリーサは、エフィの意志で街を守り始めた。だがその意志は、設計図に書き込まれた命令のままでは終わらなかった。

未熟な強さの危険を自覚し、ルシオとの協力で人々を守り、ソジョーンとの対話でヒーローの意味を学び、ヌルセクターとの戦いを経て、オーバーウォッチの一員になることを2人で決めた。私はそこに、答えの一端があると読んでいる。

オリーサの意志は、エフィが与えた人格コアから生まれ、街と人々との経験の中で育てられたものだ。造られた英雄は、造った者の意志を引き継ぎながら、自分の経験でその意志を更新していく。ヌンバーニの未来が安泰だと言えるのは、強いロボットがいるからだけではない。

強いロボットと、それを育て続ける少女が、共にいるからだ。