味方から大量の回復を受けながら、敵の射程外でほとんど意味のない攻撃を続けるタンクを見たことはないだろうか。本人は「攻撃している」つもりでも、サポートはその間ずっと回復に時間を使われ、別の味方を助けられなくなっている。

これは珍しい光景ではない。多くのタンクが、生存時間やダメージ量を「自分の活躍」だと考えてしまう。

しかし、タンクの仕事はそこではない。

Overwatchのタンクは、ただ前に立って攻撃を受けるロールではない。体力や防御スキルを使って敵の注意を引きつけ、味方が戦いやすい状況を作り、敵の体力・クールダウン・ポジション・注意を奪うことが本来の役割になる。

つまり、タンクの評価は「ダメージ量」や「生存時間」だけでは決まらない。味方から受け取った回復や支援を使って、敵からどれだけの成果を引き出せたか――この記事ではこれを「リソース効率」と呼ぶ。

クールダウンの使い方、遮蔽物の利用、味方との位置関係、攻めるタイミング、狙う相手の選び方まで、タンクに共通する基礎を順番に解説していく。

タンクが消費しているのは、自分の体力だけではない

アナがバイオティック・グレネードを味方タンクの回復に使えば、その瞬間は敵へ回復阻害を与えられない。ゼニヤッタが調和のオーブをタンクにつければ、交戦中のDPSにはつけられない。マーシーがタンクを回復している間は、別の味方をダメージブーストできない。

つまり、サポートがタンクを回復する瞬間、サポートは必ず別の選択肢を失っている。

Overwatchでは、チームが一度に使えるリソースには限りがある。体力やクールダウンだけでなく、サポートからの回復、支援スキル、アルティメット、味方が自分へ向ける視線や時間――これらすべてがリソースである。

タンクを回復すること自体が間違いなのではない。その回復によって、サポートが本来行えた攻撃や支援を諦めているという事実を、タンク自身が理解しているかどうかが問題になる。

タンクは体力が多く、身体も大きく、戦闘の中心に立つため、チーム内で最も多くのリソースを要求しやすい。だからこそ、「回復してもらえるのが当然」と考えるのではなく、その回復を何へ変換するのかを常に考える必要がある。

リソース効率とは何か

味方から受け取ったものを「入力」、その結果として敵から奪ったものを「出力」と考えると分かりやすい。

入力には、味方から受けた回復、支援スキル、アルティメット、味方が自分を見るために使った時間が含まれる。出力には、敵へ与えたダメージやキルだけでなく、敵に使わせたクールダウン、敵を後退させたこと、重要な場所を確保したこと、敵の注意を引きつけたことが含まれる。

味方2人から集中して支援されながら敵陣へ入り、複数のクールダウンを使わせ、キルや有利なポジションを獲得できたなら、その支援には十分な見返りがある。

一方で、味方2人から回復されながら、有効射程外の敵へほとんど意味のない攻撃を続けていた場合はどうだろうか。タンク本人の与ダメージが少し増えていても、その間サポートは攻撃できず、DPSへの支援もできない。チーム全体では大きな損失が発生している。

問題なのは、タンクがリソースを要求することではない。要求したリソースに対して、十分な成果を返せていないことである。

「回復をもらわないタンク」を目指す必要はない

ここで誤解しやすいのが、「サポートからなるべく回復をもらわないほうがよい」という考え方である。

そうではない。タンクが回復や支援を受けることは自然であり、必要な場面では遠慮なく要求するべきである。

重要なのは、受け取るリソースを最小限にすることではない。受け取ったリソースから得られる成果を最大化することである。

多くのリソースを必要とする代わりに、敵へ非常に大きな圧力をかけるタンクもいる。反対に、味方からほとんど支援を受けず、安定して一定の仕事を続けるタンクもいる。どちらが正しいということではなく、投入されたリソースと得られた成果の釣り合いが取れているかが重要になる。

味方から大量の支援を受けて高いダメージやキルを記録したとしても、それだけで自分が試合を一人で動かしたとは限らない。同じ支援を別の味方へ使っていた場合よりも、大きな成果を出せたのか――それが、リソース効率を見るうえでの基準になる。

タンクへの回復が、常に最も効率的とは限らない

タンクにとってはわずかな回復でも、体力の少ない味方にとっては生死を分ける回復になることがある。

多くの回復能力は、同じ回復量でも体力の少ないDPSやサポートへ使用したほうが、その味方の最大体力に対する割合が大きくなる。タンクが軽いダメージまで常に回復してもらおうとすると、ほかの味方を救うためのリソースがなくなりかねない。

また、サポートの能力には、回復以外の使い道を持つものが多い。敵への回復阻害、ダメージブースト、攻撃、状態異常の解除――その能力をタンクの回復以外に使うことで、戦闘を大きく動かせる場合がある。

特に、回復量が多くない代わりに攻撃やダメージ支援を得意とするサポート構成では、タンクが継続的な回復を要求するとチームの強みが失われやすい。

タンクは自分の体力だけを見るのではなく、味方のサポートが何を得意としているのか、そのサポートが自分を回復することで何ができなくなっているのかまで考える必要がある。

不要な被ダメージがチーム全体を弱くする

タンクが敵からダメージを受ければ、サポートは回復を行う。これは当然の流れだが、その被ダメージが本当に必要なものだったかどうかは別の問題である。

敵へ有効な攻撃を行い、場所を確保し、クールダウンを使わせるために受けたダメージなら、一定の意味がある。しかし、開けた場所に立っていたために受けたダメージや、攻撃を準備しているだけの時間に受けたダメージには、ほとんど見返りがない。

タンクが意味のないダメージを受けると、サポートは回復を強いられる。サポートが自分を回復するために前へ移動すれば、敵から狙われる危険も増える。移動能力や回復スキル、防御スキルまで使用させることになれば、タンクの一度のミスが味方の複数のリソースを消費させてしまう。

その結果、サポートは攻撃できず、別の味方を回復できず、自分を守るためのスキルも失う。タンク本人は生き残っていても、チーム全体としては不利な状態になっている。

タンクが不要なダメージを避けることは、自分が倒されないためだけではない。サポートに攻撃や支援を行う余裕を与え、チーム全員の行動を増やすことにつながる。

遮蔽物を使う

タンクは体力が多いからといって、開けた場所に立ち続けてよいわけではない。壁、建物、角、カートなどの遮蔽物を使えば、敵から受けるはずだったダメージを防ぎ、自分の体力と味方の回復を温存できる。

遮蔽物は、使用時間に制限がなく、敵に破壊されることもない防御手段である。自分の防御スキルだけに頼るのではなく、地形そのものを体力の一部として利用する必要がある。

遮蔽物を使うとは、戦闘を避け続けることではない。攻撃するときにだけ身体を出し、敵の強い攻撃が来たときや、自分のクールダウンがない時間には、すぐに隠れられる位置で戦うことである。

まだ敵へ十分な圧力を与えていない段階で体力を失えば、攻撃を始める前から味方の回復を消費することになる。さらに、一度大きく体力を失うと、遮蔽物へ戻った後も回復を待たなければならない。

数秒間の不用意な立ち位置によって、その後さらに長い時間、戦闘へ参加できなくなる可能性がある。

遮蔽物を使って最初の被ダメージを防ぐことは、結果的に自分が攻撃へ参加できる時間を増やす。

味方の射線が通る位置で戦う

敵へ攻撃できる場所にいることと、味方と一緒に戦える場所にいることは同じではない。

タンクが角を曲がって敵へ接近していても、味方がまだ移動中であったり、壁によって射線を遮られていたりすれば、タンクだけが先に戦っている状態になる。サポートは回復するために危険な位置まで移動し、DPSもタンクが作った隙を利用できない。

敵全員から攻撃されているのに、味方は十分に攻撃できていない――この状態では、リソース効率は非常に悪い。

攻める前には、自分が敵へ届くかだけでなく、味方の攻撃や回復の射線が通っているかを確認する必要がある。味方がまだ戦える位置へ到着していないなら、先に接触するのではなく、遮蔽物の近くで待つ選択も必要になる。

タンクが敵へ近づいた瞬間が、必ずしもチーム全体の攻撃開始ではない。味方全員がそれぞれの役割を行える状態になった瞬間が、本当の攻撃開始になる。

クールダウンがある時間に戦う

Overwatchのヒーローには、クールダウンが揃っていて強い時間と、重要なスキルを使い終えて弱くなっている時間がある。この強弱の波を意識することが、タンクの基本になる。

クールダウンが揃っている時間には、敵へ接近したり、場所を確保したり、大きな圧力をかけたりできる。しかし、重要なスキルを使い終わった後まで同じ勢いで戦い続けると、防御力や攻撃力の不足を体力と味方の回復で補うことになる。

入力が増えているのに、出力は減っている――これが、弱い時間に戦い続けることの問題である。

クールダウンを使い終わったら、遮蔽物へ戻って次の攻撃を準備する。数秒間待つだけで、体力とクールダウンが戻り、再び強い状態で戦える。

弱い状態でわずかなダメージを出し続けるよりも、いったん攻撃を止めて強い状態を作り直すほうがよい。何もしていないように見える時間でも、味方の回復を温存し、次の攻撃を成立させる準備ができているなら、それは意味のある時間である。

自分の有効射程で戦う

敵が見えているからといって、その場所から攻撃し続ける必要はない。

タンクは身体が大きいため、自分の攻撃が有効ではない距離でも、敵の攻撃は当たりやすい。遠距離から小さなダメージを出すために、味方から大量の回復を受けているなら、リソース効率は悪い。

自分が十分な圧力をかけられる距離まで近づけない場合は、正面から撃ち合い続けるのではなく、遮蔽物を使って前進する、別の角度へ移動する、敵が近づいてくるのを待つといった準備が必要になる。

移動中に無理な攻撃を続けて体力を失えば、本来強く戦える距離へ到着したときには、すでに攻められない状態になってしまう。自分の有効射程へ入るまでの移動と、有効射程へ入った後の攻撃は分けて考える必要がある。

装甲が残っている時間を活用する

装甲を持つタンクは、装甲が残っている間に効率よく攻撃を受けやすい。装甲を失った後も同じ場所で戦い続けると、受けるダメージが重くなり、回復の負担も大きくなる。

体力が完全になくなる直前まで前へ立ち続けるのではなく、装甲が削られた段階で遮蔽物へ戻り、回復してから再び戦うことが重要になる。

これは単に死亡を避けるための離脱ではない。自分が強く攻撃を受けられる状態を作り直し、味方から受ける回復の効率を高めるための行動である。

タンクは、自分の体力を一本の長いゲージとして考えるのではなく、強く戦える体力帯と、慎重になるべき体力帯があると考えるとよい。

敵のリソースが集中している場所へ固執しない

強力な防御スキルやアルティメットの内側にいる敵、複数のサポートから回復されている敵へ攻撃し続けても、簡単には倒せない。その間、自分も敵から攻撃され、味方の回復や支援を消費し続ける。

敵へ接近できたからといって、そこに居続ける必要はない。狙った相手を倒せないと判断したら、一度離れて別の角度を作る、敵の防御スキルが切れるまで待つ、支援を受けていない相手を探すといった判断が必要になる。

タンクは、正面にいる敵を攻撃し続けるロールではない。敵の守りが薄い場所を見つけ、そこへ圧力を移すことも重要な役割になる。

大量の支援を受けながら、敵の最も守りが厚い場所へ攻撃し続ければ、自分の数字は増えても、戦闘は動かない。敵が守りやすい場所から離れ、より成果につながる相手や場所を選ぶ必要がある。

タンクの基本サイクル

タンクの立ち回りは、「準備」「攻撃」「離脱」「立て直し」という流れで考えると分かりやすい。

まず、遮蔽物や角を使い、自分が攻撃を始めやすい位置へ移動する。味方が戦える位置へ到着し、自分のクールダウンが揃うまでは、無理に敵へ接触しない。

準備が整ったら、自分の有効射程へ入り、クールダウンを使って圧力を高める。この時間には味方から回復や支援を受けることもあるが、その支援を敵へのダメージ、クールダウンの消費、ポジションの獲得などへ変換する。

クールダウンを使い終えた、装甲を失った、敵の注意が集まりすぎた、狙った相手を倒せないと判断したときは、いったん離脱する。遮蔽物へ戻り、敵から受けるダメージを止める。

その後、体力とクールダウンを回復し、味方の位置を確認して、もう一度攻撃を始める。

タンクは常に前へ進み続けるロールではない。強い状態で前へ出て、弱い状態では遮蔽物へ戻り、再び強くなってから攻撃するロールである。

待つこともタンクの仕事になる

敵が見えているのに攻撃しないこと、数秒間遮蔽物に隠れること――これを消極的な行動だと思ってしまうこともある。

しかし、重要なクールダウンがなく、体力も削られ、自分の有効射程にも入っていない状態では、攻撃しても大きな成果を得られない。その状態で前へ出れば、味方の回復だけを消費する可能性が高い。

数秒間遮蔽物に隠れて何もしなければ、敵へダメージは与えられない。しかし、味方の回復を消費することもなく、サポートは別の味方を支援したり、敵へ攻撃したりできる。

さらに、自分のクールダウンが戻れば、次の攻撃でより大きな成果を狙える。弱い状態で長時間戦い続けるより、短時間待ってから強い状態で攻撃したほうが、結果的に試合へ関与できる時間も増える。

タンクにとって重要なのは、常に何かをしているように見えることではない。価値の高い行動を行える状態を作ることである。

スコアボードだけでは活躍を判断できない

タンクの与ダメージ、キル数、デス数が優秀なら、自分が十分に活躍できたように感じる。しかし、スコアボードには、その数字を出すためにどれだけ味方の支援を受けたかは表示されない。

味方のサポート2人が長時間タンクを回復していれば、タンクのダメージやキルが増えるのは自然である。しかし、その間DPSは十分な支援を受けられず、サポート自身も攻撃できていない可能性がある。

タンクが多くのダメージを出していても、それ以上に味方全体の攻撃機会を失わせているなら、チームへの貢献は数字ほど大きくない。

逆に、与ダメージが目立っていなくても、遮蔽物を使って回復をほとんど要求せず、敵の重要なクールダウンを引き出し、味方が攻撃しやすい位置を確保しているなら、大きな価値を生み出している。

スコアボードを見るときは、自分の数字だけで結論を出さず、その数字を出すためにチームがどれだけのリソースを使ったかまで考える必要がある。

リプレイで確認するポイント

自分のプレイを見返すときは、ダメージやキルが発生した瞬間だけでなく、その数秒前から確認する。

大きく体力を失った場面では、なぜダメージを受けたのかを見る。敵へ有効な圧力をかけるために受けたダメージだったのか、それとも遮蔽物から離れていたために受けた不要なダメージだったのかを判断する。

味方から多くの回復を受けた場面では、その間に何を達成したかを見る。敵を倒したのか、重要なクールダウンを使わせたのか、敵を後退させたのか、場所を確保したのかを確認する。

何も得られていない場合は、回復量そのものではなく、なぜそれほど回復が必要になったのかを考える。味方より早く攻撃を始めていなかったか、味方の射線から外れていなかったか、自分の有効射程外で戦っていなかったか、クールダウンがない状態で前へ出ていなかったかを確認する。

サポートの視点からリプレイを見ることも有効である。自分を回復するために、サポートがどこまで移動していたか、何のスキルを使っていたか、その間に誰を支援できなくなっていたかを見ることで、自分が消費したリソースを理解しやすくなる。

リプレイで問うべきことは、「自分は活躍していたか」だけではない。「この場面で受け取った支援に、自分の行動は見合っていたか」である。

最初に練習するべきこと

すべてを一度に意識するのは難しいため、最初は「重要なクールダウンを使い終わったら遮蔽物へ戻る」ことから始めるとよい。

攻撃を始める前に、自分のクールダウンが揃っているか、味方が戦える位置にいるか、近くに遮蔽物があるかを確認する。条件が揃ったら攻撃し、クールダウンを使って敵へ圧力をかける。

クールダウンを使い終わったら、明確に敵を倒せる場合を除いて遮蔽物へ戻る。そこで体力とクールダウンを回復し、再び条件が揃ったら攻撃する。

この繰り返しだけでも、不要な被ダメージは大きく減る。サポートが自分だけを回復し続ける必要がなくなり、チーム全体の攻撃や支援が増える。

慣れてきたら、自分の有効射程、味方の射線、敵に集中しているリソースも確認する。いきなり複雑な判断を増やすのではなく、攻撃と離脱の基本サイクルを安定させたうえで、判断材料を一つずつ追加していくとよい。

まとめ

タンクは、味方の回復を受けながら敵の攻撃に耐えるだけのロールではない。味方から受け取った回復、支援、時間を、敵への圧力へ変換するロールである。

大量のリソースを要求すること自体は問題ではない。そのリソースによって、敵の体力、クールダウン、ポジション、注意を十分に奪えているなら、タンクとして役割を果たしている。

一方で、開けた場所で不要なダメージを受ける、味方の射線から外れて戦う、自分の有効射程外で攻撃する、クールダウンがない状態で前へ出る、敵の守りが厚い場所へ固執する――これらの行動は、味方のリソースを消費する割に成果が小さい。

クールダウンが揃った時間に戦い、遮蔽物を使って不要なダメージを避ける。味方が一緒に戦える位置で攻撃し、自分が十分な圧力を出せる距離まで近づく。弱い時間には離脱し、次の強い時間を作り直す。

タンクをプレイするときに、毎回考えるべきことは一つである。

今、自分が味方から受け取っているリソースに見合う成果を、敵から引き出せているか。

この視点を持つことで、遮蔽物の使い方、クールダウン管理、味方との位置関係、攻め引きの判断を、すべて同じ基準で考えられるようになる。