ヒーローを知る
掘る手は過去を暴くためか未来へ残すためか|ベンチャーがイリオスでタロンと対峙するまで
定住せず各地を転々としながら発掘に親しんだスローンは、16歳でウェイファインダー・ソサエティへ。発掘現場を守る番人としての顔と、イリオスでタロンが狙った謎までを追う。

世界中を駆け巡る考古学者にして探検家のベンチャーことスローン・キャメロンは、地中に眠る過去を掘り起こすことを生業としている。だが掘り起こしたものをどう扱うかで、ベンチャーの物語は二つの顔を持つ。
ひとつは歴史を解き明かす探求者の顔、もうひとつは遺物を奪おうとする者たちから発掘現場を守る番人の顔だ。掘る手は、過去を暴くためのものなのか、それとも未来へ残すためのものなのか。公式ヒーロー・ストーリーは、その両方をひとりの人物に重ねて描いている。
生まれながらの考古学者
スローン・キャメロンは、幼いころから発掘に慣れ親しんできた。定住地を持たず、各地を転々とする生活の中で、移住先はそのまま新たな冒険の地になった。
地中に埋もれた財宝や小物など、過去の痕跡を掘り当てていくうちに、その非凡な才能は世界中の考古学者と歴史学者で構成されたグループ「ウェイファインダー・ソサエティ」の目に留まる。
スローンは16歳にして、ウェイファインダー・ソサエティに見習いとして仲間入りを果たした。
ここで私が注目したいのは、スローンの才能が「掘る技術」だけではないことだ。公式ストーリーが描くスローンは、場所を転々とする生活そのものを冒険として受け入れてきた人物である。定住しないことは、普通なら不安定さの象徴になる。
だがスローンにとっては、次に何が埋まっているか分からない土地へ移ること自体が、日常であり、喜びだった。私はここに、後のベンチャーの底なしの度胸の出発点があると読んでいる。
未知を恐れないのではなく、未知の手前に立つことを当然としてきた経験が、度胸の土台になっている。
ウェイファインダー・ソサエティ
溢れんばかりの勇気を持つスローンは、頭脳明晰な逸材が集まるウェイファインダー・ソサエティの中で独自の個性を発揮した。古代の遺跡から廃墟と化したオムニウムまで、危険な場所での調査にもあっという間に慣れていった。
発掘作業では、泥をかぶり、あざを作り、虫などの生物が身体をはいずり回ることもしばしばあった。それでも、発掘現場から帰ってきたスローンの顔にはいつも笑みが浮かんでいた。
発掘を続け、掘り当てた遺物の研究へ熱心に取り組んでいるうちに、スローンはその献身ぶりを認められ、晴れてウェイファインダー・ソサエティの正式メンバーとして加わることとなった。
この一節の温度が、ベンチャーというヒーローの輪郭を決めていると私は思う。泥も、あざも、虫も、苦労話として語られていない。笑みと並べて語られているのだ。発掘の過酷さは、スローンにとって障害ではなく、現場にいた証のようなものとして描かれている。
だからこそ、スローンが遺物を「研究する」姿勢も、机上の学問とは違う。自分の手で掘り当て、自分の身体で現場をくぐった者の研究として描かれている。私はこの「手で触れた過去への愛着」こそ、ベンチャーの物語の芯だと読んでいる。
難局を切り抜けて
スローンの底なしの度胸は、発掘調査以外でも役立った。周辺の治安が悪化するにつれて、発掘現場の安全が脅かされ、盗掘者や略奪者、果ては手練れの盗賊までもが、ウェイファインダー・ソサエティの手で発掘された遺物を奪おうとした。
そんな時、スローンはいつも発掘道具と頭の回転の速さを武器に、あらゆる危険因子から発掘現場を守ったのだった。
ここでベンチャーの二つ目の顔がはっきりする。掘る者は、同時に守る者でもあるのだ。遺物を掘り起こす行為は、それ自体が略奪と紙一重に見えることもある。
だからこそ公式ストーリーは、スローンが「奪おうとする者」から現場を守ったことを、わざわざ掘る技術と並ぶ仕事として描いているのだと私は読んでいる。発掘道具は、土を掘るための道具であると同時に、現場を守るための武器にもなる。
スローンの度胸は、冒険心だけから生まれたものではなく、「掘り当てたものを誰にも奪わせない」という責任感からも生まれている。
イリオスの発掘現場とタロン
イリオスの発掘現場で、スローンは未だかつてないほどの強敵、タロンと遭遇する。現場を好き放題に荒らし、遺物を略奪しようとするタロンを見過ごせなかったスローンは彼らと対峙し、長い小競り合いを経て、タロンを追い出すことに成功する。
だがタロンを追い出した後、スローンの頭にある疑問が浮かぶ。タロンほどの強大な組織が遺跡で何を狙っていたのか。謎は深まるばかりだが、スローンが諦めることは決してないだろう。その謎を自身の手で解き明かすまでは。
この結びが、ベンチャーの物語を単なる冒険譚から、オーバーウォッチの世界の大きな流れへ接続していると私は考えている。
タロンという組織の全体像については、ドゥームフィストの記事やReign of Talon最終章の記事で整理した通り、世界各地で暗躍する勢力である。
そのタロンが、なぜ遺跡に現れたのか。盗掘者や盗賊とは規模も目的も違うはずだ。スローンが現場を守り切ったことは確かだが、守り切った先に残ったのは勝利の余韻ではなく、問いだった。掘る者の仕事は、土の中の答えを見つけることだけではない。
目の前の敵が何を掘ろうとしていたのか、その意図まで掘り当てなければ、現場は本当には守れない。私はそこに、ベンチャーの物語の次の章への入り口があると読んでいる。

公式に確認できること
スローン・キャメロンは定住地を持たず各地を転々とする中で発掘に親しみ、16歳でウェイファインダー・ソサエティに見習いとして加わり、後に正式メンバーとなった。発掘現場を盗掘者や略奪者、盗賊から守り、イリオスの現場ではタロンを追い出した。タロンが遺跡で何を狙っていたのかは、公式ストーリーの中で明かされていない。
現時点では未確定
タロンがイリオスの遺跡で狙っていた遺物や目的の具体的な内容、スローンがその謎をどう追うのか、そしてウェイファインダー・ソサエティとオーバーウォッチとの関係が今後どう描かれるのかは、公式に明らかになっていない。
結論:掘る手は、過去を暴くためか、未来へ残すためか
冒頭の問いに戻る。ベンチャーの掘る手は、過去を暴くためのものでもあり、未来へ残すためのものでもある。スローンは地中の痕跡を掘り当てて歴史を解き明かし、同時にその痕跡を奪おうとする者たちから現場を守ってきた。どちらか一方だけでは、ベンチャーにはならない。
イリオスで残された問いも、同じ構図の延長にあると私は読んでいる。タロンが何を狙っていたのかを解き明かすことは、過去の謎を掘る作業であると同時に、次に狙われる現場を守るための作業でもある。
泥にまみれながら笑みを浮かべていた探求者は、いまや世界の大きな争いの入り口に立っている。スローンが諦めない限り、その掘削は止まらない。土の下に眠る答えが、スローンの手で掘り起こされる日を、公式ストーリーの続きが語るのを待ちたい。
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この記事の執筆
Overwatchプレイ歴4年。本サイトの企画、診断ロジック実装、記事執筆、サイト運営を担当しています。
参考にした公式情報
本記事はBlizzard公式資料をもとに、出来事の順序と人物の動機が分かるよう再構成・編集しています。考察部分は、公式に確認できる情報と区別して記載しています。