「この診断、ちゃんと考えて作られているのかな?」

初めて遊ぶ診断なら、そう思うのは自然なことです。結果が自分に近いと感じても、どうやってその答えにたどり着いたのかが見えなければ、たまたま当たっただけにも見えます。

Overwatch診断には、32問の「プレイスタイル診断」と、ロールを選んで進む「ヒーロー診断」があります。見た目はどちらも質問へ答える診断ですが、調べているものも、結果を出す仕組みも別です。

この記事では、なぜ2つに分けたのか、回答をどう分類しているのか、どこを人が考え、どう調整してきたのかを、内部の採点条件そのものは公開せずに説明します。

プレイスタイル診断とヒーロー診断を分けた理由

一番大きな理由は、「戦い方の傾向」と「具体的に合うヒーロー」は、同じ情報だけでは決めきれないからです。

たとえば、前線に近い場所で戦うのが好きな人がいたとします。しかし、その人がやりたいのは、敵の注意を引きながら味方を前へ進めることかもしれません。近距離へ切り込んで自分でキルを取ることかもしれません。

あるいは、戦っている味方のすぐ近くで支援することかもしれません。

どれも「前で戦う」に見えますが、向いているロールもヒーローも同じではありません。

ひとつの診断だけで全部を出そうと思えば、タンクから3体、DPSから3体、サポートから3体というように、候補を広く並べることもできます。ただ、9体も出せば、その中のどれかは当たりやすくなります。

それでは「あなたに合うものを絞った」のではなく、「どれかは当たるように広く出した」結果に見えてしまいます。

適性ロールがタンク寄りと出た人に、形式上サポート候補まで必ず出すのも不自然です。反対に、プレイスタイル診断でタンク傾向が出ても、本人が今探したいのはDPSの相棒かもしれません。

そこで役割を分けました。

  • プレイスタイル診断は、普段どこを見て、どう動き、どんな形で試合へ関わる傾向があるかを整理する
  • ヒーロー診断は、本人が選んだロールの中で、どのヒーローの戦い方に近いかを絞る

プレイスタイル診断では、16タイプと適性ロール、強み、苦手になりやすい状況、立ち回りのヒントを表示し、具体的なヒーロー候補は出していません。どのヒーローを使うかまで同じ情報だけで決めず、相棒候補を探す段階をヒーロー診断として独立させています。

プレイスタイル診断は32問をどう結果へつなげるのか

プレイスタイル診断では、32問すべてに5段階で答えてもらいます。ひとつの質問だけでタイプを決めるのではなく、似たテーマを別の角度から尋ね、回答全体の傾向を見ます。

整理しているのは、次の4つのプレイスタイル軸です。

1. 立ち位置

敵に近い前線で価値を出したいか、安全な距離から戦況を見て価値を出したいかを見ます。

これは単なる「前が好き・後ろが好き」ではありません。体を張って味方を守ることに満足を感じるか、距離を取り直して全体を見たいか、といった複数の回答を合わせて整理します。

2. 攻め方

多少のリスクを取って自分から試合を動かしたいか、相手を見て安定した対応を選びたいかを見ます。

チャンスが見えた瞬間に仕掛けることと、敵の行動を受けてから返すことは、どちらが優れているという話ではありません。得意な勝ち筋が違う、という考え方です。

3. 戦況の見方

チーム全体、オブジェクト、ウルト状況まで広く見ようとするか、目の前の戦闘や自分の操作へ深く集中するかを見ます。

広く見る人にも、ひとつの勝負へ集中する人にも強みがあります。診断では、どちらの情報を優先しやすいかを回答のまとまりから判断します。

4. 動き出し方

自分からアクションのきっかけを作るか、味方や敵の動きを見てタイミングを合わせるかを見ます。

立ち位置と似て見えますが、別の話です。後方からでもコールやピンで先に流れを作る人はいますし、前線にいても味方の仕掛けを待ってから動く人はいます。

4つの軸でどちら側の傾向が強いかを組み合わせると、16通りになります。それが4文字のタイプコードです。さらに、その組み合わせが試合で価値を出しやすい役割を考え、適性ロールを対応させています。

短い診断にしなかったのは、一場面の好みだけで全体を決めないためです。32問あることで、「前へ出たいが、自分から仕掛けるより味方へ合わせたい」のような、似ているようで違う傾向を分けられます。

16タイプの結果文は人が組み立てている

タイプコードを出したあと、AIが診断結果の文章をその場で自動生成しているわけではありません。診断の結論やアドバイスをAI任せにしたものでもありません。同じ回答傾向なら、同じロジックを通って同じタイプへ到達します。

16タイプそれぞれについて、強み、苦手になりやすい状況、試合中の思考、立ち回りのヒント、相性の良いタイプと噛み合う理由を個別に考え、固定の文章として用意しています。

強みと苦手になりやすい状況は、そのタイプの傾向が試合中の判断へどう影響するかを見ながら作っています。

たとえば「積極的に仕掛けられる」という傾向は、味方の準備より早く動けば孤立につながります。「安全な位置から全体を見られる」という傾向も、安全を優先しすぎれば戦闘へ関わる時間が減ります。

こうした実際の試合で起こる場面をもとに、アドバイスや具体例まで人が考えて文章にしています。

ヒーロー診断の「決定木」とは

ヒーロー診断は、スコアの高いヒーローをランキング順に並べる方式ではありません。Tank・DPS・Supportから、まず診断したいロールを選び、そのロール専用の決定木を進みます。

決定木とは、ひとつの回答によって次に出る質問が枝分かれする仕組みです。

たとえばタンクなら、最初に「素早く動きたいか、どっしり構えたいか」を選びます。素早く動きたい人には、個人技で翻弄したいか、判断で敵を動かしたいかを尋ねる。どっしり構えたい人には、どんな火力の出し方を好むかを尋ねる。

このように、選んだ道に必要な質問だけを重ねて候補を狭めます。

全員へ同じ質問を並べるのではなく、前の回答に応じて次の比較を変えるため、少ない質問でも「そのロールの中で何をしたいか」を具体的に掘り下げられます。

プレイスタイル診断の4文字から自動的にヒーローを決めていないのも、このためです。プレイスタイルの適性ロールと今遊びたいロールは違って構いません。自分でロールを選び、その中で相棒候補を探せるようにしています。

ヒーローを分類する作業が難しかった理由

決定木を作るうえで一番難しかったのは、どのヒーローもひとつの言葉では説明できないことでした。

「チームと合わせてキルを取りたいか、一人でキルを取りたいか」という比較をしても、実際にはどのヒーローも味方と合わせれば強くなります。使い方や状況によっては、一人でキルを取ることもできます。

「素早く動くか、どっしり構えるか」も同じです。ラインハルトは前線を構えるタンクですが、チャージで大きく移動できます。ウィンストンはジャンプ・パックで飛び込みますが、着地後はその場所で耐えながら敵へ圧力をかけ続けます。

ロードホッグは機動力型ではありませんが、味方を守るために同じ場所へ構え続けるタイプとも言い切れません。

つまり、質問は「その行動ができるか」ではなく、「そのヒーローは、どちらの戦い方を選んだ時に持ち味を出しやすいか」で分ける必要があります。

ここは僕だけで決めず、Overwatchコーチのもなこさんと一緒に、各ヒーローの役割、得意な距離、火力の出し方、機動力、スキルによる試合への関わり方を比較しました。

特にDPSは人数が多く、同じ遠距離型や高機動型に見えても、得意なキルの取り方が違います。候補をひとつ増やすたびに、既存の分岐全体を見直す必要がありました。正直、かなり大変な作業でした。

それでも16タイプから直接ヒーローを割り当てるより、ロールを選んだあとに好みを一段ずつ比べる方が、具体的な候補を出しやすいと考え、決定木方式を採用しました。

いろいろなランク帯で試して調整した

プレイスタイル診断の質問、分類、結果文からヒーロー診断の分岐まで、全体を約3か月かけて設計・調整しました。最初に僕と、もなこさんで分類を作っただけでは完成にせず、試作段階から実際にいろいろな人へ遊んでもらっています。

グランドマスター、TOP500、マスターのような高ランク帯だけでなく、ゴールドやシルバーのプレイヤー、ランクをあまり回さないカジュアルなプレイヤーにも試してもらいました。

そこで分かったのは、同じヒーローでも、経験やランク帯によって「このキャラは何が強いと思うか」がかなり違うことです。

高いランクで成立する使い方が、初心者にとって分かりやすい選択とは限りません。反対に、初心者が抱く素直なイメージを優先しすぎると、使い込んだ人には本来の強みと違って見えることがあります。

回答結果と感想を見ながら、「この質問なら別の意味に受け取られないか」「この分岐でこのヒーローへ進むのは納得できるか」を確認し、質問文や分類を何度も調整しました。

目指したのは、高ランクのプレイヤーだけが納得する診断でも、初心者にだけ分かりやすい診断でもありません。知識量の違う人が遊んでも、できるだけ「なぜこの結果なのか」を想像できる診断です。

診断にもできないことがある

ここまで考えて作っても、すべての人が100%納得する結果を出すことはできません。

Overwatchでは、マップ、味方と敵の構成、試合展開、プレイヤーの習熟度によって、同じヒーローに求められる動きが変わります。ジャンクラットでファラを落とすような、普通は第一候補にしない勝ち方を実現できる人もいます。

ひとつのヒーローを極めれば、本来は苦手とされる状況まで技術で越えられることもあります。

また、質問への答えは、その日の気分や直近に遊んだロールに影響されることがあります。自分が実際にしている動きではなく、理想の動きを選ぶ場合もあります。

そのため、この診断は実力、ランク、勝率、人格を測るものではありません。「このロールやヒーローしか使ってはいけない」と決めるものでもありません。

結果は、今の自分が好みやすい戦い方を言葉にして、次に試す選択肢を見つけるためのものです。違和感があれば、その違和感自体が「自分は何を大切にしているのか」を考える材料になります。

実際に使ってもらって見えたこと

調整中、まだ始めたばかりで「魂のヒーローが見つからない」と悩んでいた人に、ヒーロー診断を試してもらったことがあります。

結果はメイでした。実際に2、3試合使ってもらうと、キルやデスを含む戦績が大きく安定し、本人からも「楽しい」「動かしやすい」「魂のヒーローかもしれない」という感想が出ました。

もちろん、数試合の結果だけで診断の正しさを証明できるわけではありません。マップや味方、相手との相性にも左右されます。

ただ、診断をきっかけに、それまで候補に入っていなかったヒーローを触り、楽しい部分を見つけられた。この体験は、僕たちが作りたかったものにかなり近いと感じました。

ほかにも、普段から遊んでいる人が診断すると、実際のメインヒーローへたどり着く例がいくつもありました。こうした結果と、さまざまなランク帯からの違和感チェックを重ね、現在の形を完成版としました。

新しいヒーローが追加された時は、そのヒーローだけを末端へ足すのではなく、既存ヒーローとの違いを比べ直し、どの分岐へ入れるべきかを検討します。

2つの診断をどう使い分けてほしいか

自分の戦い方そのものを整理したいなら、まずはプレイスタイル診断がおすすめです。32問の結果から、立ち位置、攻め方、戦況の見方、動き出し方の傾向と、適性ロール、強み、弱み、改善のヒントを確認できます。

使いたいロールが決まっていて、その中で新しい相棒を探したいなら、ヒーロー診断から始めても構いません。プレイスタイル診断で出た適性ロールと違うロールを選んでも問題ありません。

診断結果はゴールではなく、実際に触るヒーローを決める入口です。候補が出たら練習場やクイック・プレイで試し、「動かしていて楽しいか」「判断が自然につながるか」を確かめてみてください。

この診断を作った理由や目指している場所はOverwatch診断に込めた思いにまとめています。

この記事まで読んでくれた方には、画面に出る4文字やヒーロー名の後ろに、こうした分類と調整の積み重ねがあることまで伝わればうれしいです。