『Overwatch』の物語において、タロンは長年にわたって主要な敵組織として登場してきた。

ウィドウメイカーによるテカルサ・モンデッタの暗殺、リーパーによる元オーバーウォッチ隊員の襲撃、ソンブラが関与した世界規模のサイバー攻撃、シグマを利用した重力兵器の研究など、世界各地で起きた事件の裏には何度もタロンの存在があった。

しかし、タロンは最初から一つの目的に従って動く、統一された組織だったわけではない。金と権力を求める者、戦争による人類の進化を望む者、研究環境を必要とする者、自分自身の目的のために組織を利用する者が、互いの利害によって集まっていた。

そんな不安定な組織の頂点に、父の帝国を奪われた一人の女性が現れる。

マルツィア・バルタロッティ。のちにコロッセオの王者「ヴェンデッタ」となる彼女は、自分をタロンから追い出した者たちを倒し、組織の支配権を奪った。

ヴェンデッタの登場によって、タロンはこれまで以上に巨大な勢力へ成長しようとしている。一方で、リーパー、ソンブラ、ウィドウメイカーをはじめとする古参メンバーは組織を離れ、シグマは危険な兵器として監禁された。

新生タロンは本当に以前より強くなったのか。それとも、ヴェンデッタの野心によって内部から分裂し始めているのか。

この記事では、タロンの成り立ちからドゥームフィストによる改革、ヴェンデッタの復讐と権力掌握、そして現在のメンバーが置かれている状況までを時系列に沿って解説する。

タロンとは何を目的とした組織なのか

タロンは、テロ、暗殺、武器取引、誘拐、サイバー攻撃などを世界規模で行う犯罪組織であり、強力な私設軍隊でもある。

オーバーウォッチが世界の平和と安定を守るために設立されたのに対し、タロンは争いや混乱を利用して勢力を拡大してきた。政治家、企業、犯罪組織などと裏でつながり、必要に応じて武力や情報を使いながら、世界各地へ影響力を伸ばしている。

ただし、タロンの全員が共通の思想を持っているわけではない。

武器商人にとっては利益を得るための市場であり、研究者にとっては倫理的な制限を受けずに実験を続けられる場所だった。リーパーにとっては自分が考える正義を実行するための力であり、ソンブラにとっては世界の秘密へ近づくための情報源だった。

組織として一定の目標を共有しながらも、所属する者たちはそれぞれ別の目的を持っている。タロンは信頼や友情で結ばれた集団ではなく、互いを利用し合う者たちによって成立していた。

この構造こそがタロンの強さであると同時に、後にヴェンデッタによる大きな分裂を招く原因にもなった。

アントニオ・バルタロッティとタロンの犯罪帝国

ヴェンデッタの父アントニオ・バルタロッティは、イタリア政府内にも強い人脈を持つ武器商人であり、タロンの有力者だった。

アントニオは自分の娘マルツィアに、いずれ自身の事業と権力を継がせようとしていた。マルツィアも幼い頃から父の仕事を学び、自分が犯罪帝国の後継者になる未来を疑っていなかった。

しかし、彼女は父を無条件に尊敬していたわけではない。

アントニオの傲慢さや危険な行動によって、家族の生活は大きな影響を受けていた。マルツィアは幼くして母親を失い、父の選択によって自分の将来まで失われるのではないかと不安を抱いていた。

その不安は、やがて最悪の形で現実になる。

ローマに建設されたブラックウォッチの施設がタロンによって爆破され、多数の死傷者が出た。オーバーウォッチは、この事件にアントニオが関与していると判断する。

ガブリエル・レイエスは、コール・キャスディ、ゲンジ、モイラを率いてヴェネツィアへ潜入した。計画ではアントニオを生きたまま連行する予定だったが、レイエスは現場で彼を射殺する。

この事件によってブラックウォッチの存在は世界に知られ、オーバーウォッチの信用は大きく傷ついた。

そして同時に、マルツィアが受け継ぐはずだった未来も失われた。

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父を失い、タロンから追放されたマルツィア

アントニオが殺害され、その犯罪行為が表に出ると、マルツィアは父が築いた組織から追い出された。

彼女が受け継ぐはずだった財産と事業は、アントニオの側近だったアウグスト・ヴィアリに奪われた。さらにタロンの評議会では、ドゥームフィストもマルツィアに父の席を与えることを拒否した。

タロンにとって、彼女はもはや有力者の後継者ではなかった。父親を失い、後ろ盾も戦闘実績も持たない若い女性に、巨大組織の席を渡す理由はないと判断されたのだろう。

しかし、マルツィアにとってタロンの地位と財産は、誰かに譲ってもらうものではなかった。

それは生まれたときから自分に約束されていた権利であり、父を殺したブラックウォッチだけでなく、自分を追い出したタロンの者たちも復讐の対象となった。

彼女は、奪われたものを力で取り戻す道を選ぶ。

コロッセオの王者「ヴェンデッタ」の誕生

マルツィアはローマのコロッセオで行われていた剣闘競技へ参加し、戦士として自分を鍛え上げた。

彼女が目指していたのは、単に試合で勝つことではない。自分を軽視した者たちに力を見せつけ、イタリア中から恐れられ、尊敬される存在になることだった。

執念深く容赦のない戦いぶりによって、マルツィアは「ヴェンデッタ」と呼ばれるようになる。競技で勝利を重ね、やがてコロッセオの王者となった彼女は、「復讐の狼」としてイタリア中に名前を知られるようになった。

知名度は、そのまま権力へ変わっていった。

コロッセオのスポンサーはビジネス上の協力者となり、ヴェンデッタはヨーロッパの有力者が集まる場へ招かれるようになった。競技の裏で行われる賭博や八百長から情報を集め、それを脅迫や交渉の材料として利用した。

彼女の戦い方に憧れた剣闘士たちも、次第にヴェンデッタのもとへ集まっていく。

ヴェンデッタは、失った父の組織へ戻るために誰かの許可を待っていたわけではない。コロッセオで得た名声、富、情報、人脈、兵力を使い、自分自身の帝国を作り始めていた。

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ヴィアリとドゥームフィストが率いたタロン

アントニオの死後、タロンではアウグスト・ヴィアリが勢力を拡大した。

ヴィアリは利益と政治的な影響力を重視し、タロンを犯罪ビジネスとして成長させようとしていた。一方、タロンの有力者ドゥームフィスト(アカンデ・オグンディム)は、争いによって人類は進化するという思想を持っていた。

ドゥームフィストにとって、金や権力は最終的な目的ではない。戦争や試練を世界中で引き起こし、その中を生き残った強者によって人類を次の段階へ進めることが目的だった。

二人の考え方は大きく異なっていた。

ヴィアリはタロンを利益を得るための組織にしようとし、ドゥームフィストは世界を戦争へ導くための組織にしようとした。

オーバーウォッチに逮捕されていたドゥームフィストが脱獄すると、彼はリーパー、ソンブラ、ウィドウメイカーとともにヴェネツィアへ向かった。そこでヴィアリを排除し、タロンの評議会に自分たちが戦争を始めることを宣言した。

ドゥームフィストの支配下で、タロンは裏社会だけに存在する犯罪組織から、世界各地で軍事作戦を展開する私設軍隊へと変化した。

タロンには、リーパー、ウィドウメイカー、ソンブラ、モイラ、シグマ、マウガといった強力な人材が集まった。ドゥームフィストは彼らを完全に同じ思想へ染めるのではなく、それぞれが求めるものを与えながら利用していた。

しかし、その体制をヴェンデッタは失敗だと考えていた。

ヴェンデッタがドゥームフィストを倒す

ヴェンデッタはヴィアリとドゥームフィストが率いるタロンを監視し続けていた。

彼女の目には、ヴィアリは父の遺産を食いつぶした人物として映っていた。そしてドゥームフィストも、タロンが持つ可能性を十分に活用できていない指導者に見えていた。

コロッセオで築いた人脈と影響力を使い、ヴェンデッタは父の事業と縄張りを少しずつ奪い返していく。さらにタロンの評議員を殺害し、自分が単なる剣闘士ではなく、組織全体を脅かせる存在であることを示した。

そして彼女は、タロンの頂点に立つドゥームフィストへ直接挑戦する。

両者の戦いでは、ヴェンデッタがドゥームフィストを打ち破った。彼女はドゥームフィストのガントレットを破壊し、彼を高所から落下させた。

その後、ドゥームフィストの姿は確認されていない。彼が死亡したのか、それとも生き延びて再起を狙っているのかは、現時点では明らかになっていない。

ヴェンデッタは力によってタロンの支配者を倒し、父がかつて持っていた席を奪い返した。

ただし、彼女が求めているのは父の帝国をそのまま復活させることではない。

ヴェンデッタは、以前よりも巨大で強力な自分自身の帝国を作ろうとしている。

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ヴェンデッタが作る新生タロン

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ドゥームフィスト時代のタロンは、強い個人がそれぞれの目的を持ちながら協力する組織だった。

ヴェンデッタのタロンは、それとは異なる方向へ進んでいる。

彼女はタロンを、自分の支配する領土、軍隊、企業、人脈を持つ巨大な帝国へ変えようとしている。裏から世界を動かすだけではなく、占領した地域を直接支配し、そこから利益と影響力を得ようとしている。

ヴィシュカー・コーポレーション副社長のドミナとは、タロンの支配地域における再開発権を与える代わりに、資金、人脈、ハード・ライト技術の提供を受ける関係を築いた。

ドミナは正式なタロンの一員ではない。しかし、互いの利益を目的にした協力関係は、ヴェンデッタが戦闘員だけでなく、世界規模の企業や経済活動まで利用しようとしていることを示している。

さらにヴェンデッタは、マウガやモイラのように新しい支配体制を歓迎する者を残し、エムレのような危険な力を持つ人物も戦力へ組み込んだ。

新生タロンは、一つの思想を広める秘密結社というより、ヴェンデッタを頂点とした軍事・経済帝国に近い存在となっている。

ヴェンデッタに従ったモイラ

モイラ・オデオレインは、ドゥームフィストの失脚後もタロンに残った。

彼女にとって重要なのは、誰が正しい指導者なのかではなく、自分の研究を進められる環境があるかどうかである。

モイラはブラックウォッチ時代から、倫理的な制限を受けずに遺伝子研究を続けてきた。タロンへ移った後も、組織から資金や実験環境を得る代わりに、その研究成果を提供していた。

ヴェンデッタは世界規模で支配領域を広げようとしており、モイラに以前よりも多くの資源を与えている。

そのためモイラは、ドゥームフィストへの忠誠を守るのではなく、ヴェンデッタの新体制を受け入れた。今後、彼女がその資源を使って何を作ろうとしているのかは、タロンの中でも特に危険な要素の一つとなる。

戦いを求めて残ったマウガ

マウガもまた、ヴェンデッタの支配を歓迎した人物である。

マウガにとってタロンは、世界中で強い相手と戦い、破壊と混乱を楽しめる場所だった。ドゥームフィストが倒されたことに対する思想的な反発はなく、新しい指導者がさらに大きな戦争を起こすのであれば、彼にとっては都合がいい。

ヴェンデッタの世界規模の攻撃は、マウガへ新しい戦場を与えている。

彼は新体制への忠誠心から協力しているというより、自分が望む暴力をヴェンデッタが提供している限り、その側に立っていると考えたほうが近い。

意識を操られているエムレ

新生タロンに加わった人物の中でも、特に謎が多いのがエムレ・サリオールである。

エムレは第一次オムニック・クライシス後、最初にオーバーウォッチのストライク・チームへ正式加入した人物だった。優秀な戦術家と指揮官として知られ、救助部門とも協力しながら多くの作戦へ参加していた。

しかし、オーバーウォッチ内部に腐敗が広がっていくのを見たエムレは、組織を離れた。

その後、彼は長期間にわたって行方不明となり、再び姿を現したときには肉体の大部分がサイボーグ化されていた。さらに、正体不明の何者かによって精神を操作され、自分の意思に反して人を殺す「生きた兵器」に変えられていた。

エムレは常に完全に支配されているわけではない。以前の人格が戻る時間もあり、その間は自分が何をさせられているのかを理解している。

現在、エムレはタロンと行動をともにしているものの、ヴェンデッタへ忠誠を誓っているわけではない。自分に残されたわずかな自由意志を守り、精神を侵食している存在へ抵抗するため、タロンの中にいる。

ここで重要なのは、エムレを操っている存在が誰なのかはまだ確定していないことだ。

ヴェンデッタ、モイラ、タロン、あるいはソンブラが追っている世界規模の陰謀との関係も考えられるが、現時点ではどれも推測の段階にある。

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エムレを救うために残ったフレイヤ

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エムレのそばにいるのが、元オーバーウォッチ救助隊員のフレイヤである。

フレイヤは組織の解散後に生きる目的を失い、やがて報酬のために標的を追うバウンティ・ハンターとなった。

タロンの資金を管理するマクシミリアンは、フレイヤへエムレの捜索を依頼した。二人はオーバーウォッチ時代から深い信頼関係を持っており、フレイヤにとってエムレは単なる賞金首ではなかった。

彼女がようやく発見したエムレは、以前の友人とはまったく異なる状態だった。何者かに意識を奪われ、感情を失ったように周囲の人間を攻撃していた。

しかし、戦いの中で支配が一時的に弱まり、エムレ本人の人格が戻る。フレイヤは彼を敵として引き渡すのではなく、残された人間性を守る道を選んだ。

そのため彼女は、エムレをタロンに一人で残さず、自身も組織内にとどまっている。

フレイヤはタロンへ忠誠を誓った戦士ではない。エムレを救う方法を探すため、敵の内部に残ることを選んだ人物である。

ヴェンデッタにとっては有能な追跡者と戦闘員だが、エムレを巡る状況が変われば、新生タロンへ反旗を翻す可能性もある。

タロンと協力するドミナ

ドミナの本名はヴァイラ・サティヤヴァディ。ヴィシュカー・コーポレーションの後継者であり副社長である。

彼女は正式なタロンのメンバーではないものの、ヴェンデッタと重要な取引関係を結んでいる。

ヴィシュカーは資金、企業ネットワーク、ハード・ライト技術を提供し、その代わりにタロンが支配した地域の再開発権を得ている。

これは、タロンが都市を攻撃して終わるのではなく、破壊した地域の復興事業まで利用して利益を生み出そうとしていることを意味する。

戦争を起こすタロンと、その後の再開発を担うヴィシュカーが協力すれば、両者は破壊と復興の両方から利益を得られる。

ただし、ドミナもヴェンデッタの思想へ共感しているわけではない。彼女はヴィシュカーの影響力を拡大するためにタロンを利用しており、両者の関係はあくまで利益によって成立している。

ハシモト組から送り込まれたミズキ

日本でカネザカを支配するハシモト組も、タロンと協力関係にある。

ハシモト組のミズキは、自警団ヨーカイへ潜入する任務を与えられた。ヨーカイはキリコを中心に、ハシモト組による支配へ抵抗している集団である。

しかし、ミズキは完全に冷酷な工作員ではない。組織の中で長年圧力を受けながら育ち、自分が本当にハシモト組の生き方に向いているのか迷いを抱えている。

ヨーカイと接触することで、ミズキがタロンやハシモト組への忠誠を保つのか、それとも別の道を選ぶのかはまだ分からない。

新生タロンには、モイラやマウガのように自ら協力する者だけでなく、エムレ、フレイヤ、ミズキのように、別の事情を抱えて内部にいる人物も多い。

監禁されたシグマ

ドゥームフィスト時代のタロンは、シグマの精神状態を利用しながら、彼に自分が兵器として扱われていることを十分に認識させないようにしていた。

ヴェンデッタは、そのような配慮すら必要ないと判断した。

彼女はシグマを人間ではなく、不安定で危険な兵器だと見なし、必要になるまで拘束施設へ閉じ込めている。

シグマは重力を自在に操る、タロンでも最強クラスの力を持つ人物である。一方で、事故によって精神が分断されており、自分が置かれている状況を常に正確に理解できるとは限らない。

ヴェンデッタは彼の能力を恐れながらも、捨てるのではなく、使用する機会が来るまで保管している。

新生タロンが世界規模の戦争を進める中で、シグマが兵器として解放されるのか、あるいは誰かが彼を救い出すのかは、今後の大きな焦点となる。

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ソンブラはシグマを救おうとしている

ソンブラは最初から、タロンへ忠誠を誓っていなかった。

彼女が追っているのは、世界中の政府、企業、犯罪組織の裏側で動く正体不明の巨大な陰謀である。タロンへの加入も、その資金、設備、情報網を利用して陰謀の正体へ近づくことが目的だった。

そのため、ヴェンデッタがタロンを掌握すると、ソンブラは新しい支配者に従わず、組織を離れた。

ただし、タロンとの関係を完全に断ったわけではない。

シグマがヴェンデッタに拘束されているため、ソンブラは現在も影からタロンの動きを監視している。タロンの中でシグマを単なる兵器ではなく、一人の人間として扱っていた数少ない人物がソンブラだった。

彼女が監視を続けているのは、情報を得るためだけではなく、シグマを救出する機会を探しているからだと考えられる。

ソンブラが単独で救出を試みるのか、かつての仲間と協力するのか、あるいはオーバーウォッチや別の勢力を利用するのかはまだ明らかになっていない。

自由を手に入れたウィドウメイカー

ウィドウメイカーの本名はアメリ・ラクロワ。タロンによる洗脳とモイラの肉体改造によって暗殺者へ変えられた人物である。

彼女は長い間、タロンの命令に従い、モンデッタをはじめとする数多くの標的を殺害してきた。

ヴェンデッタが支配権を握った混乱の中で、ウィドウメイカーはモイラの管理から逃れた。

現在の彼女は、タロンにも別の組織にも所属しない、独立した暗殺者となっている。

ただし、自由になったことが、そのまま以前のアメリへ戻ったことを意味するわけではない。彼女は今も暗殺の緊張と精密さを求め、自分の意思で標的を選んでいる。

モイラによる投薬や精神管理から離れたことで、過去の記憶や感情が戻る可能性はある。しかし、彼女が罪を悔いて救済を求めるのか、自由な殺し屋として生き続けるのかはまだ分からない。

ウィドウメイカーはタロンから解放されたが、アメリ・ラクロワが戻ってきたとはまだ言えない。

ヴェンデッタから逃れたリーパー

リーパーはヴェンデッタの支配が始まると、タロンから姿を消した。

彼はヴェンデッタの目標に興味を持っておらず、自分が新体制で生かされるとも考えていなかった。

何より、ヴェンデッタの父アントニオを殺害したブラックウォッチ部隊を率いていたのが、当時のガブリエル・レイエスだった。

ヴェンデッタにとってリーパーは、父を奪い、自分をタロンから追放される原因を作った直接の仇である。

リーパーは長年、他人を追う側だった。元オーバーウォッチ隊員を狩り、タロンの敵を排除する暗殺者として活動してきた。

しかし現在は、ヴェンデッタに追われる側へ回っている。

リーパーが一人で逃亡を続けるのか、ソンブラやウィドウメイカーと再び協力するのか、ジャック・モリソンやアナと再接触するのかは不明である。

ヴェンデッタとリーパーの対立は、現在のタロンとブラックウォッチ時代の因縁を直接つなぐ物語でもある。

マクシミリアンはどちら側なのか

マクシミリアンは、長年にわたってタロンの資金を管理してきたオムニックである。

モンテカルロの裏社会を動かし、タロンの作戦に必要な莫大な資金を用意してきた。フレイヤへエムレの追跡を依頼したのもマクシミリアンだった。

しかし、ヴェンデッタが支配権を握った後、彼が新体制へどのような立場を取っているのかははっきりしていない。

フレイヤをエムレのもとへ向かわせたことが、ヴェンデッタの命令だったのか、マクシミリアン自身の計画だったのかも不明である。

タロンは巨大な軍隊を動かすだけでなく、企業との取引や占領地域の運営も始めている。資金と人脈を扱うマクシミリアンの存在は、以前よりも重要になっている可能性がある。

一方で、彼は常に自分が生き残るために情報と取引を利用してきた。ヴェンデッタが不利になれば、別の勢力へ協力することも十分に考えられる。

新生タロンは強くなったのか

ヴェンデッタは、ドゥームフィストを倒し、新しい戦力と企業を組み込み、タロンを世界規模の帝国へ変えようとしている。

戦力だけを見れば、タロンは以前よりも危険になっている。

ヴェンデッタ自身の戦闘力に加え、モイラ、マウガ、エムレ、フレイヤらが活動し、ドミナとヴィシュカーが資金と技術を提供している。必要になれば、シグマという極めて強力な兵器を投入することもできる。

しかし、組織内部は以前より安定しているとは限らない。

リーパー、ソンブラ、ウィドウメイカーという古参の実働部隊は離脱した。シグマは指導者へ忠誠を持つ兵士ではなく、強制的に拘束されている被害者である。

エムレは精神を支配されながら抵抗し、フレイヤは彼を救うために残っている。ミズキも任務と自分の良心の間で揺れており、ドミナはタロンではなくヴィシュカーの利益を優先している。

マウガとモイラも、ヴェンデッタ個人への忠誠ではなく、自分が望む戦いや研究を得られるから協力しているにすぎない。

ヴェンデッタはタロンを自分の帝国へ変えたが、その帝国を構成している者の多くは、それぞれ別の目的を抱えている。

彼女が力を失えば、組織が再び分裂する可能性は高い。

ヴェンデッタがドゥームフィストと違う点

ドゥームフィストは、戦争による人類の進化という思想を持っていた。

彼が求めていたのは、単に自分が世界の王になることではない。争いを意図的に発生させ、その試練によって人類全体を鍛えようとしていた。

一方、ヴェンデッタの行動原理は、より個人的で分かりやすい。

自分から奪われた地位を取り戻し、自分を見下した者たちを支配し、父を超える帝国を築くことが彼女の目的である。

ドゥームフィストはタロンを思想のための道具として扱った。ヴェンデッタはタロンそのものを、自分の所有する帝国にしようとしている。

そのため、ヴェンデッタのタロンはドゥームフィスト時代よりも直接的に領土や企業を支配する一方、指導者個人への反発が組織全体の弱点になりやすい。

彼女はドゥームフィストを力で倒した。しかし、世界規模の組織を長期的に支配できるかどうかは、剣闘競技で勝つこととはまったく別の問題である。

今後の物語で重要になる5つの謎

新生タロンを巡る物語には、まだ多くの謎が残されている。

一つ目は、ドゥームフィストの生死である。ヴェンデッタとの戦いで落下して以来、姿を現していないが、死亡は確認されていない。彼が生きていれば、タロンの支配権を取り戻すために再び現れる可能性がある。

二つ目は、エムレを操る存在の正体である。その存在がタロン内部の人物なのか、ソンブラが追う陰謀と関係するのかによって、物語全体の方向が変わる。

三つ目は、ソンブラがシグマを救出できるかどうかである。シグマがタロンの支配から解放されれば、ヴェンデッタは最大級の戦力を失う。一方、彼の力が暴走すれば、タロンだけでなく世界全体へ被害が及ぶ可能性もある。

四つ目は、ウィドウメイカーが自由を得た後に何を選ぶのかである。彼女がアメリとしての記憶を取り戻すのか、それとも誰にも支配されない暗殺者として生きるのかは、長年続いてきた物語の大きな転換点となる。

五つ目は、ヴェンデッタの帝国に集まった者たちが、いつまで彼女へ従うのかという問題である。フレイヤ、エムレ、ミズキ、ドミナ、マウガ、モイラは、それぞれ別の理由で新生タロンにいる。彼らの利益がヴェンデッタと衝突したとき、現在のタロンは内部から崩れるかもしれない。

タロンはヴェンデッタの帝国になった

かつてのタロンは、異なる目的を持つ危険人物たちが、互いの利益のために協力する秘密組織だった。

ドゥームフィストはその力を一つの思想のもとへまとめ、タロンを世界規模の私設軍隊へ変えた。

ヴェンデッタはさらにその先へ進み、タロンを領土、企業、軍隊を持つ自分自身の帝国にしようとしている。

しかし、その支配によって古参のメンバーは離脱し、利用されていた者たちの苦しみも以前より明確になった。

ヴェンデッタはドゥームフィストを倒し、父から奪われた地位を取り戻した。けれども、復讐を果たした彼女がこれから何を目指すのか、そして集めた者たちを本当に支配し続けられるのかはまだ分からない。

新生タロンは以前よりも巨大で、以前よりも攻撃的で、以前よりも世界へ直接的な脅威を与えている。

同時に、組織の内部には過去最大ともいえる亀裂が生まれている。

ヴェンデッタの帝国を倒すのは、新生オーバーウォッチなのか。生き延びたドゥームフィストなのか。それとも、タロンの内部にいる者たち自身なのか。

『Overwatch』の新しい物語は、単純なオーバーウォッチ対タロンの戦いだけではない。

一人の支配者によって作り変えられた帝国と、その中で自分の自由を取り戻そうとする者たちの戦いでもある。